1月6日  ケーキの日

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。


 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 諸君らは甘味物はお好きだろうか?

 誕生日、クリスマス。今や我々の生活に深く結びつき、そして多くの人々から愛される洋菓子。本日2017年1月6日は『ケーキの日』である。


 本日がケーキの日と呼ばれる様になった所以は1879年、現在も洋菓子を作り続ける『風月堂』が日本初のケーキの宣伝をした事による。

 日本初のケーキと言えば、1543年の種子島にポルトガルからやってきたカステラが余りにも有名だが、我々が一般的に呼ぶショートケーキが作られたのは1922年、『不二家』の創始者であった藤井林右衛門によるものだとはあまり知られていない。


 今現在ではケーキなど極ありふれた洋菓子ではあるが、当然の話、普及する前の当時ではかくも珍しい甘味物であった。諸君の中には、ケーキがない生活なんて耐えられない。非常に可哀そうだと思われる者もいるかもしれない。

 だがしかし、それは我々にも言える事だ。例えば、日本初のショートケーキが作られてから後数年で一世紀程の歳月が経とうとしている。更に今現在から一世紀後、我々はどんな甘味物を食しているだろうか? 私の想像力ではまるで見当がつかない。今はまだ生まれていない未来を担う若者達から、やはり我々も同じ様に思われる日が来るのかもしれない。


 日々進化する食文化。

 それは、これからも我々の舌を喜ばせ、口元をほどけさせてくれるだろう。




 今日はケーキの日、特別な一日である。

 我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。

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