62 置物、果実、山姥

「この木に何かゆかりでもあるんですか」

「それは不老不死の木だよ。上に白いのが被ってるだろそれは頭蓋骨の名残なんだ。

昔即身仏になろうとしたお坊さんがいてね

 きのみだけを食って絶食して、最後には穴の中で座禅してたんだけど、掘り出そうと寺の人たちが集まって来たときに空気穴から芽が出ていることに気づいたんだ。

 蓋を開けて見てみると、なんとミイラになった坊さんの体から木の芽や根が突き出ていたんだ。

 そこで村人たちとの協議で昔村はずれだったここに供養のために埋めたんだ。

 それから何年も経ったある日、とある殿様がこの噂を聞きつけ、何か御利益があるかもしれないとその果実を徴収した。

 それを食った殿様は、山姥のような醜い姿になり、今も山のどこかでさまよっているのでした。

 という伝承があるんだよ」

「ああ、この気味の悪い置物は山姥のイメージなんですね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る