45 くちずけ、ハンバーグ、進化

ハンバーグ王国とバーガー帝国は遥かな昔からずっと争いを続けていました。帝国は肥沃な大地を持つハンバーグ王国を欲しがっていたし、王国はバーガー帝国の広大な土地を利用して産業をもっと進化させようと考えていました。

そんなある日、ハンバーグ王国の国王に予言者を名乗るある男が謁見し、「巨人国で新たな王女が誕生した。その寵愛を得るものは2つを共に手に入れるだろう」という予言を言いました。

王室はたちまち大騒ぎです。巨人国とはハンバーグ、バーガーが共に寄り添った山脈の、その向こうに位置する神秘の国で、どちらの争いにも中立の立場をとっていました。この情報はすぐにバーガー帝国に伝わると考えた国王は、影武者をたててすぐに山脈越えに発ちました。

一方帝国でも、この話はかなり重要なことでした。すでにスパイから国王が出発したことは伝わっていました。予言を利用するばかりか、本物の王を暗殺することすらできるかもしれないと、皇帝も精鋭を連れて旅立ちました。

そして、ここは巨人国の王室。紆余曲折あってなんども火花を散らし、互いに部下を消耗した二人の王は、巨人国の兵士に存在を伝えることで一難乗り越えました。

なんとか新王女に謁見することが叶ったものの、当の新女王は生まれたばかりの赤ん坊で、しかも巨人なので象ほどの大きさがあります。なんとかご機嫌を取ろうとした二人はあっけなく握りつぶされてしまいました。おもちゃがなくなって怒った王女がぐずるので、母親が抱きかかえてキスをすると、王女はすぐに眠ってしまいました。

それから国々はどうなったかというと、巨人国の女王、つまりあの母親が、王のいなくなった2国に攻め入り、両方を手に入れたのでした。新女王が愛したのは母親だったのでしたとさ。

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