24 匂い、漬物、テント
家に帰ると奇妙な匂いがした。その理由はすぐにわかった。玄関に見慣れない、だけどよく知っている靴がある。兄さんが帰ってきた!
「お兄ちゃんおかえり!」
リビングに飛び込むとやはり兄さんが荷物を床に広げて、片付けをしている最中のようだった。
「お土産は?」
「おいおい、まだ『ただいま』も言ってないのにまったくひでえい妹だな」
そう言いながらもお兄ちゃんはリュックの底をゴソゴソあさり、どこかの民族的な雰囲気のする小袋を取り出した。大急ぎで袋を開けると、中からこれまた奇妙なキーホルダーが出てきた。手彫りのようだがとても手が込んだ細工がされている。
「あと漬物もあるぞ」
「いらない。それよりこれはどんなものなの?」
兄さんは傷ついたように何かしらの根っこの漬物をそっとテーブルに置き(ものすごく臭い。さっきの匂いはこれだったんだ)、テントセットを引っ張り出しながら話し始めた。この人形と、それにまつわる大冒険について!
「そうだなぁ、まずは俺が旅に行く前に受け取った手紙のことから話そうかな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます