24 匂い、漬物、テント

 家に帰ると奇妙な匂いがした。その理由はすぐにわかった。玄関に見慣れない、だけどよく知っている靴がある。兄さんが帰ってきた!

「お兄ちゃんおかえり!」

 リビングに飛び込むとやはり兄さんが荷物を床に広げて、片付けをしている最中のようだった。

「お土産は?」

「おいおい、まだ『ただいま』も言ってないのにまったくひでえい妹だな」

 そう言いながらもお兄ちゃんはリュックの底をゴソゴソあさり、どこかの民族的な雰囲気のする小袋を取り出した。大急ぎで袋を開けると、中からこれまた奇妙なキーホルダーが出てきた。手彫りのようだがとても手が込んだ細工がされている。

「あと漬物もあるぞ」

「いらない。それよりこれはどんなものなの?」

 兄さんは傷ついたように何かしらの根っこの漬物をそっとテーブルに置き(ものすごく臭い。さっきの匂いはこれだったんだ)、テントセットを引っ張り出しながら話し始めた。この人形と、それにまつわる大冒険について!

「そうだなぁ、まずは俺が旅に行く前に受け取った手紙のことから話そうかな」

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