王様の発注ミスにより低スペックの俺は姫の婿になる

@ryurion

第1話選ばれた俺は王の城へと転移する


「なぁ、ミリア。お前はあの子に見合う婿がいると思うか?」


暗闇の中で1人のヒゲを生やしたおじさんが、腕を組みながらそんな事を言う。

それに対してミリアと呼ばれた銀髪の女の人は、はい。と返事をする。


「私はこの世界には、もういないと思います。何せあの子は少し変わった子だからね……」


と言ってクスクス笑うミリア。

それに対し、方目をつぶったおじさんも、確かにな。と言って笑う。

するとおじさんは、確かにお前が言う事も分かるが、もっとどうしたらいいか分からなくなった。と言ってうーむと唸る。

それに対し椅子に座っていたミリアは立ち上がり、ある事を提案した。


「そう言えばこの間、面白い事を聞きましたよ? ……確か、異世界は実在し! そして、その異世界の子供のスペックが分かる道具があるのだ! って東のメインストリートに住んでるメルビンさんが言ってましたけど、信じてみたら良いのでは? ふふふ」


と、からかいながら言うミリア。

その姿は月光に照らされ、より綺麗な顔立ちがしっかりと分かる。ミリアがおじさんの前まで行くと、おじさんは、がっはっは! と笑いながら、


「それはいい考えだ! さっそく明日、メルビンをこの城へ連れて来い! もし拒むようなら、うまい酒やうまい飯も振舞ってやるからと言って、連れてきてくれ!」


「えぇ!?本当にそうするんですか? 冗談のつもりだったのに……まぁ、王様がそう言うのであれば、私は従うまでですので」


と言ってため息をつくミリア。

すると、王座に座っていたおじさん……いや王様は、立ち上がりミリアの肩に手を乗せた。


「分かっていると思うが、私はもう長くない。その前に、何としてでも#姫__むすめ__#に婿を探さなくてはならないんだ……分かってくれミリア」


それに対しミリアは、またため息をついて、


「分かっていますよそれ位……あと! 長くないとか訳の分からないこと言わないでください! あの馬鹿な姫が聞いてて勘違いでもしたらどうするんですか!」


と、王様を睨み付けるミリア。

すると、王様はそんな怖い顔をするでない、可愛い顔が台無しだぞ? と頭を撫でる。

するとミリアは、きゃん! と可愛らしく声を出すと王様の手を払い除け、部屋を飛び出した、


「お……おおお世辞なんて! わ……わわわ私には通用しないのだからな!?お……覚えておけぇー!」


バタンッ! と大きく扉の音を鳴らしながら部屋を飛び出して行ったミリアを見ながら、王様は、


「あいつが、私の娘じゃなかったら死刑だな、がっはっは!」


と、ひとり寂しく暗い部屋で笑ったのだった。


……しかしこの時、王様とミリアは気づいていなかった。


「お……お父様が長くない!?……し……死んじゃうのかな!?」


と1人布団の中で、悩んでいる姫がいることに……





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