最後の魔女57 悪魔の事情
何とか悪魔を討伐した私は、次なるピンチを迎えていた。
「リア様には、やはり常に私がついていないと駄目ですね。主の危機に隠れているような駄猫など、リア様の隣には相応しくない」
「にゃにゃ⋯だって相手は高位悪魔にゃ、にゃもなんて居ても相手にならないにゃ」
「はぁ? 寝言は死んでからいいなさい。眷属たるもの主の盾となり壁となり矛となり、いつでもその身を犠牲にするのは当たり前のこと。一度、死よりも怖い恐怖を教えてあげる必要がありそうね」
まぁ、私も概ねシェリちゃんに同意する。だけど、駄猫には駄猫の役目がちゃんとあるしね、ここは助け舟を出してあげる。
「まぁ、シェリちゃん。ここは私に免じて許してあげて、ね?」
「むぅ、リア様は優しすぎます。私たち眷属はたとえ死んでも誓約はあるにしても数日あれば復活出来ますが、リア様にもしものことがあれば、取り返しはきかないんですからね」
あれ、収めるつもりが私まで一緒に説教されてる?
とばっちりだと駄猫を睨み付ける。
「でも一番の疑問なのは、何故リア様が
うぬぬ。そうは言うけど、あの悪魔結構強かったよ?
返答に困っていると、何かが高速で近付いてくる。
「お姉様ぁぁあ! ご無事ですかぁぁああ!」
どうやら心配になったリグが迎えにきたようだ。
「大丈夫」
あ、あれ、ちょっと待って⋯
もしかしてこの状況ヤバくない?
この2人のウマが合うとは到底思えない。
「この者は誰ですか?」
「そうゆうアンタは何処のどなたかしら?」
はぁ⋯やっぱり。
これは、火の粉が飛び火しない内に逃げた方がいいね。
「私はお姉様の、い・ち・ば・んの妹のリグよ」
「はぁ? 悪魔風情が何を戯言を言っているの? 今すぐ消し炭にしてあげる。そこに構えなさい!」
「やれるもんならやってみなさいよっ!」
2人の頭にチョップを落とす。
全然力を入れてなかったのに、なんで2人とも涙目なわけ?
「喧嘩しない。リグは訳あって一緒に行動してるの。シェリちゃんは私の眷属。2人とも仲良くね」
そのまま打ち解け合っていない2人を連れて、先にシュメルハイツへと向かった傭兵さんたちを追った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(某悪魔城にて)
「サタン様はおられるか?」
「サタン様は多忙につき、現在お話出来る状態ではない」
悪魔の頂点である悪魔王サタンの右腕である序列3位のフォルネウスは、諜報役を担っているジャントゥースから話を聞いていた。
ここは悪魔城。この世界の何処かに存在すると言われる悪魔のみが立ち入ることが許された大陸がある。
その中心地に聳え立つのは、悪魔城クインテッドノースタリア。下位の悪魔たちですら入ることは許されておらず、高位悪魔、中位悪魔と特殊な任に就いている者、一部例外はあるが、選ばれた存在しか登城出来ないように特殊な結界が張ってあった。
「ふむ。にわかには信じ難いな。あのメフィストがやられたなどとはな」
「フォルネウス様も感じておられるはずでは?」
確かに私には、高位悪魔と呼ばれる者たちと契約し、その生死を把握することが出来る権限を持っている。この力はサタン様に頂いた能力でもある。
メフィストは、確か革命派だったな。
我々悪魔は、3つの派閥の何れかに属している。
一つは、悪魔王サタン様の祈願を叶える為に行動している悪魔王派。
一つは、世界征服を掲げているあの方が率いている革命派。
最後の一つは、どちらにも属していない者つまり単独派だ。単独派に至っては、個々によって思想が異なる為、何を成そうとしているのかは私自身も把握していない。
「先日のシュダルといい、高位悪魔が死ぬことなど何百年に一度あるかどうかだ。それが立て続けに起こるとはな⋯」
一体、何が起こっていると言うのだ。我々を狩る者が現れたとでも言うのか?
「ジャントゥースよ。引き続き犯人の正体を追え」
「はっ」
こんな状況下で一体サタン様は何処で何をしておられるのか⋯
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます