最後の魔女55 高位悪魔1
"悪しきものを浄化する力を我に⋯光を持ってその身を滅せん"
《
悪魔目掛けて飛来する光輝く十字架。
《
普通の属性魔法だとあの厄介な剣で全て掻き消されてしまった。
だから、聖属性ならと思って放つと効果覿面。悪魔は受け止めることすらせずにただ逃げ回るだけだった。
それでも隙を見て距離を詰めようとする相手を
相手も逃げ回っているばかりじゃなく、先程の闇色の剣を飛ばしてくる。
自身に施している防御膜頼みで敢えて避けることはしない。だって、避けてる隙を見せるとたぶん、一瞬で懐に潜られてそれで詰みそう。
身体強化を最大まで使ってるけど、それでもスピードは相手の方が上。
どうやら近接戦闘が得意みたいだし、わざわざ相手の土俵に立ってやる必要はない。
ギウスの様子をチラリと確認すると、敵さんの数を減らすどころか逆に増えていた。
なにか仕掛けがありそうだけど、生憎とそっちに意識を避ける時間はない。ごめんね、自力で頑張って。
さて、私が無駄に十字架だけを降らせてたわけではないとだけ言っておく。
やっと魔力が溜まった。
相手が速くて捕まらないなら、範囲を広げるまで。
《
これは相手がどんなに素早くても絶対に避けれない。
だって、前方見渡す限りの範囲を指定したのだから。おかげで発動に要する時間と魔力と今も継続してゴリゴリと消費し続ける魔力が凄いけど。
大地を縦横無尽で走っていた悪魔の足が止まった。
何が起こったのか理解していないみたい。
そのまま喰らって成仏して。
《
身動きの取れなくなった所に頭上から3本の十字架が降り注がれる。
流石にこれはダメージを負っただろうと私も思ったよ。だけど、相手は私も考えが及ばない行動を取った。
その場から消えたかと思ったら背後から私を一文字に斬り裂いた。
今の一撃で防御膜を1枚消費してしまった。連撃が来る前に後方へと跳躍する。
私が動いたことで、
あれは相手の動きを阻害する代わりに発動中はその場を動くことが出来ない仕様になっていた。
これにより私は相手にダメージを与えることが出来ないままただ無駄に膨大な魔力を消費してしまった。
それにしても相手が転移を使えるとは思わなかった。私と同じ回数制限なら次はないはずだけど、生憎と賭けに出るほど無駄に魔力は消費したくない。
次の手を考えないと。
しかし、相手は待ってくれないみたい。
私の手が止まった隙を逃さず次なる攻撃を仕掛けてきた。
何だろうあれは⋯
魔力の渦?
何だか嫌な気配を感じる。
紫色の球体が四方からゆっくりとこちらに向かって迫ってきた。
渦を巻いており、周りの物を吸収しながら進むそれは、私の知ってる魔法に近いのがあるのを思い出した。
闇系魔法の最上位に属する、確か
!?
あれ、身体が動かない⋯
何故?
何かの術を喰らったの?
えっと、もしかしてヤバくない?
悪魔は余裕の表情で腕を組んでいた。
うわあ、魔法が使えれば打開策はいくらでもあるんだけど、使おうにも身体が動かない⋯
今度こそ、詰んだのかな⋯
防御膜がどれだけ持つのか分からないけど、あれの前じゃ一瞬で削られそうね。
はぁ、駄目だね。余計な概念が⋯雑念が入って来る。
目を閉じて少しだけ冷静になろう。
彼が私に何らかの行動阻害かつ魔法行使阻害の術を使用したと考えるのが妥当。だけど、そこまでの効果の術をされて全く私が気が付かないなんてそんなことあるのだろうか。
いや、ありえない。
精神を研ぎ澄ませてた戦闘中にそんなミスは犯さない。記憶がないのなら、何かもっと別な方があるはず。
例えば⋯
周囲を見渡し、ある異変に気がつく。
なるほど、これが原因か。
ネタが分かれば、解くのは簡単。
これ、魔界でピンチの時も助けてもらったんだけど、予め発動前で待機させておき、後は私の意思一つで思い通りに動かすことが出来る。
魔法や手足が動かせなくなってもこれだけは任意で発動させられる私の切り札の一つ。
そうして動けるようになった所で、
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