第683話関白殿、二月二十一日に(38)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


僧都の君は、赤色の薄地の御法衣に紫の御袈裟、格別に淡い薄紫糸の御衣などや指貫をご着用なされています。

そのお顔は、とにかく青く可愛らしく、まるで地蔵菩薩のようなのです。

女房たちの中に入って、あちらこちらなさっているのも、本当に面白いのです。

「偉いお坊様方と一緒にお行儀よくなされないのですね、見苦しくも、私たちのような女房たちの中におられます」

などと、女房たちがわらっています。

伊周大納言様の御桟敷から、松君をお連れ申し上げます。

葡萄染めの織物の直衣、濃い紅の綾の打衣、紅梅色の織物の衵などと、お召しになっておられます。

御供には、普段と同じに、四位や五位の者がかなり多くついています。

中宮様の御桟敷で、女房たちがいる場所に抱きいれ申し上げると、何かがお気に障ったのでしょうか、大声をあげて泣き出してしまわれました。

その泣き声の元気のよいことまでが、今日の法会を実に引き立てるのです。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :僧都の君とは?

清少納言先生:関白道隆様のご子息にして、隆円僧都様、当時は15歳でした。

舞夢    :松君は、大納言伊周様の長男道雅様ですか?

清少納言先生:はい、当時はまだ三歳でした。


※関白殿、二月二十一日に(39)に続く。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る