第682話関白殿、二月二十一日に(37)
清少納言先生:続きをお願いします。
舞夢 :了解しました。
関白様は、
「皆さま一人一人が、絵に描いたかのようなお姿です」
「もうお一方は、今日は人並みに見えるようですよ」
などと、申し上げなさいます。
また、関白様は、
「三位の君よ、中宮様の御裳を脱がせて差し上げなさい」
「ここにおられる中で、御主君となられる立場は、中宮様なのです」
「御桟敷の前に、帝が警護の陣屋を設けなさるのは、相当な格別のことなのです」
などと、感激のためでしょうか、涙ぐまれておられます。
関白様の御言葉通りなので、私たち女房も、一緒に涙ぐみそうになるのです。
さて、その時に、関白様は、赤色に桜襲の五重の唐衣を着ている私(清少納言)をご覧になられ、
「お布施の法服が一着不足しているので、急なことで大慌てになってしまった」
「それとも、あるいはまさか、そのようなものを独り占めなされたのですか」
と、おっしゃられます。
すると、伊周大納言様は、少し後ろに下がってたのですけれど、関白様の戯れの御言葉をお聞きになられて、
「おそらく清僧都の法服なのでしょう」
とおっしゃられます。
そのような皆様方がおっしゃられる一言の様々が、実に素晴らしいことなのでした。
清少納言先生:はい、お疲れ様。
舞夢 :もうお一方とは?
清少納言先生:関白様の北の方となります。姫君に対して少々謙遜の意味を込めています。
舞夢 :法服の色を教えてください。
清少納言先生:大僧正以上は緋色、僧正は紫、僧都以下は赤、従僧は黒と定められておりました。
舞夢 :それで清少納言先生が赤色の衣から、そんな話に発展したのですね。
清少納言先生:まさかとは思いましたが、楽しい時間でした。
※関白殿、二月二十一日に(38)に続く。
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