第665話関白殿、二月二十一日に(20)

右衛門は、

「はい、確かに中宮様の仰せの通りではございますが、どうして先走りなどをして、他の女房の皆さまより早く乗れるのでしょうか」

などと申し上げるので、お側にいる女房達はそれを耳にして、憎らしく思っている様子。

中宮様は、

「そんな先走りをするような品のないことをして、格の高い人の車の間に割り込むとしても、それは恥ずかしいことと思いますよ」

「決まりを守って、品よくしているほうがよいと思うのです」

と、少々御不興のようなのです。

私(清少納言)は、

「そういうことになってしまったのも、その人たちも下る時に、本当に待ち遠しくて辛いので、先を争ってしまったのでしょう」

と、改めて申し上げたのです。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :右衛門様も、あからさまに言ってしまいましたね。

清少納言先生:はい、私は新参者でしたから、とてもとても。

舞夢    :中宮様も、その様子をわかってしまったと。

清少納言先生:かなり、気分を害された様子でした。


※関白殿、二月二十一日に(21)に続く。

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