第666話関白殿、二月二十一日に(21)
清少納言先生:続きをお願いします。
舞夢 :了解しました。
御経供養を目的として、中宮様は明日に積善寺にお出ましになられるらしいとの情報が入り、私(清少納言)は、今夜に参上いたしました。
南院の北面に立ち寄ってみますと、あちらこちらの高坏などに灯りを点して、二人、三人、三、四人にそれぞれ親しい女房仲間が寄り集まり、屏風で仕切ったり、几帳で隔てている人たちもいます。
また、そこまでにはならないけれど、集まって幾枚もの衣裳を綴じ重ねたり、裳の飾り紐を刺していたり、化粧をする姿は当たり前で、髪を結う人もおりまして、まるで明日になると化粧そのものができないかのように、集中しているようです。
そのような状態で、ある女房が、
「寅の時にお出ましになられるらしいのですが、何故今まで参上なさらなかったのですか?使いの者に扇を持たせて、あなた(清少納言)様をお探し申している人がいましたよ」
知らせてくれました。
清少納言先生:はい、そこまで。
舞夢 :お仕えする女房の方々も、準備には余念がないようですね。
清少納言先生:はい、それはその通り。当時は新参者でよくわからなくて、参上するのが遅くなってしまったのです、少し叱られてしまいました。
舞夢 :扇の使い方とは?
清少納言先生:当時に女官や女房達は、扇は晴着を身に着ける場合には、必須のもの、新調したものが届けられました。
※清少納言の中宮定子様に仕え始めた当時の話、なかなか仕来りを覚えきっていない様子を、素直に書いている。
※関白殿、二月二十一日に(22)に続く。
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