第606話さかしきもの(1)

清少納言先生:今日は、小賢しい人、つまり本来以上に利口ぶる人のお話です。

舞夢    :了解しました。訳をしてみます。


利口ぶる人としては、今時の三歳児。

稚児のためとして、祈祷を頼まれ、その稚児が痛いと言う腹をさする女の祈祷者。

その祈祷に使うと称して、道具や材料を差し出させ、必要な物を作る。

何枚も何枚も紙を重ね、押し付けるような感じで、わざわざ全然切れの悪い刀で紙を切る動作をするけれど、見たところ、そんな刀では紙一枚も切れそうにもないのに、この場合はこの道具を使うと定められているとして、その口をゆがめてまで力を込めて押し切る。

目の多くついた道具などを使って、かけ竹を割るなどして、祈祷の場を、とかく神々しく作り上げ、声も身体もブルブルと震わせるなど、いろんなことに格好をつけている。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :言葉を覚えたばかりの三歳児はともかく、女祈祷師は面白いですね。

清少納言先生:とにかく、「大変そうな」演技をするのです。

舞夢    :目の多くついた道具は?

清少納言先生:鋸のようなものになります。


※さかしきもの(2)に続く。

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