第596話細殿の遣戸を

清少納言先生:今日は細殿の遣戸を、いつもより早い時間に開けた時のお話です。

舞夢    :了解しました。訳をしてみます。


細殿の遣戸を、いつもよりはかなり早い時間に開けると、御湯殿の馬道から宿直を終えて下がって来る殿上人を拝見できます。

糊毛の萎えてしまった直衣、指貫がかなりほころびていますので、様々な色の衣からはみ出ているのを、たくし入れて北の陣の方角に向かって歩いていくのですが、やはり開いた戸の前を通り過ぎるからでしょうか、えいを肩越しに顔をふさいで行くのも、なかなか面白いのです。


清少納言先生:はい、お疲れ様。

舞夢    :御湯殿とは、清涼殿の西北でお湯浴みをする施設ですね。

清少納言先生:その通りです。北の陣には兵衛府の陣がありました。

舞夢    :殿上人も、女房たちの前を通るとなると、乱れてしまった装束をさっと直すのですね。

清少納言先生:その上、顔まで隠すのですから、これは面白いのです。


※宮中のなんでもない様子だけれど、女房たちの「いたずら」と、それに遭遇してしまった殿上人の慌てぶりが、面白い。



えい:冠の付属具で、背後の中央に垂らす部分。

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