第574話細殿に便なき人なん(1)

清少納言先生:今日は中宮様との懐かしいやり取りです。

舞夢    :了解しました。訳をしてみます。


「細殿に泊っては問題があると思われる人が、まだ暗い朝の時間帯に、その顔を傘で隠すようにして、出て行ったようです」などと、人が噂をしています。

それに耳をそばだてて聞いていると、どうやら私(清少納言)に関係がある人のようです。

さて、その人は地下の身分ではありますが、それほど恥ずかしいとは言えない、そうかと言って、私の相手としては人に認められるほどの人ではありません。

そういうことなので、何故、そのような噂になるのか、不思議なことを言うのだなあと思っていると、中宮様からお手紙が届けられました。

その中には、返事を特に急いでとの言葉もありました。

私が、一体、何のご用件なのかと思って、拝見すると大きな傘の絵が描いてあって、人の姿などは書かれておりません。

ただ、手だけを描いて傘を持たせ、絵の下には

中宮様

「山の端明し朝より」

との言葉が書き添えてあるのです。



※細殿に便なき人なん(2)に続く。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る