第575話細殿に便なき人なん(2)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


中宮様のなさることは、簡単な絵入りの歌の句であっても、とても素晴らしいとのみ存じ上げているので、その噂が中宮様のお耳にまで届いたかと思うと、とても恥ずかしい。

あまり面白くもない噂は、決して中宮様には知られないようにと思っていたけれど、このような証拠もない噂が伝わってくるのは、困ってしまうことになる。

それでも、中宮様の絵入りのお手紙には、興味を感じましたので、届けられた御手紙ではなく別の紙に、激しく降る雨の絵を描き、その下に

「ならぬ名の立ちにけるかな さてや濡れ衣にはなりはべりかむ」

と書いて、中宮様に差し上げました。

すると、中宮様は右近の内侍などに、私との絵入り交換のお話をなさって、お笑いになられたのです。


清少納言先生:はい、お疲れ様。

舞夢    :中宮様も「濡れ衣」と知っていて、絵入り手紙の交換をなされたのでしょうか。

清少納言先生:はい、おそらく。お遊びです。

舞夢    :激しい雨なので、濡れ衣ということですね、さすがです。

清少納言先生:中宮様に、仕掛けられてしまったのです。


※清少納言先生は、そう言いながら、楽しそうな顔をしている。

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