第508話大路近なる所にて聞けば
清少納言先生:今回は、大通りに近い家の中から、聞いた声とか音からのお話です。
舞夢 :了解しました。訳をしてみます。
大通りに近い家の中にいると、様々な声を聞いたり、音が聞こえてくる。
時には、牛車に乗って通りを行く人が、有明の月の風情を感じたのだろうか、車の簾をあげて
「遊子なお残りの月に行く」という漢詩を、美しい声で吟じている声を聞くなど、とてもいいものを聞くことがある。
車ではなくて、馬に乗っている場合でも、そのような風流な人が外を通る時は、面白いものである。
そういう所で聞いている時に、馬の泥障の音が聞こえてきたので、さてどのような人が乗っているのだろうかと、目の前の仕事も差し置いて、のぞいて見ると、結局期待外れのどうでもいい者を見た場合は、本当にがっかりして、いまいましい。
清少納言先生:はい、お疲れ様。
舞夢 :耳で聞いていて素晴らしいと思っても、見てみると期待外れもあるということですね。
清少納言先生:はい、期待が大きいだけにね。
舞夢 :ところで「遊子なお残りの月に行く」の漢詩とは?
清少納言先生:「佳人 尽く 晨粧を飾る 魏宮に鐘動く 遊子なほ残月に行く 函谷に鶏鳴く」、この「遊子」は旅人。有明の月を見ながら、家を離れて長い旅をするのでしょうか、この漢詩を吟じた人は、都の大通りを行く人なのだけど、この漢詩を知っているだけでも風流と思うのに、有明の月と残月をかけて、さらっと吟じるなど、とても興味をひかれます。
舞夢 :確かに、それは感じますね、漢詩そのものも、素晴らしいと思います。
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