第474話雪のいと高うはあらで(3)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


その彼とは、昼間にあった出来事などを含めて、様々なお話をします。

縁側には円座を出したけれど、片方の足は縁から下に垂らしたままです。

明け方のお寺の鐘の音が聞こえる頃まで、部屋の御簾の内側と外側で、こんなふうに話し続けるけれど、全く飽きるということがありません。

明け方になって、まだ暗いのですが、彼が

「雪、何とかの山に満てり」と吟じた様子は、とても趣があるものでした。

女性だけでしたら、こんなふうに座って夜を明かすことまでは、出来ないでしょう。

彼のような風流を解する人がいたので、その様子を含めて、普通の女性たちだけの場合よりは、面白かったと、女性たちで話し合ったのです。


清少納言先生:はい、お疲れ様。

舞夢    :「雪、何とかの山に満てり」の歌とは?

清少納言先生:はい、和漢朗詠集です。「暁、粱王ノ苑ニ入レバ 雪、群山ニ満テリ」、それを何がしかの山にぼかしたのです。

舞夢    :ちらりと言葉にした歌の話も、後々の話題になりますね。

清少納言先生:はい、そういう事が言える、また話題に出来るのも、格別なことになるのです。

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