第462話六位の蔵人などは(1)

清少納言先生:今日は、六位の蔵人についての、私の考え方です。

舞夢    :了解しました。訳をしてみます。


六位の蔵人の場合は、考えるべきではないことがあります。

例えば、やがては五位に叙せられて、どこかの国の権の守であるとか、何々の大夫となるべき人が、板葺きで狭い家を手に入れて、それに小さな檜垣を新たにめぐらせてしまう。

また、そこに車庫を、ことさら他人に目立つようにこしらえて、建物の前には一尺ぐらいの木の杭を立てて、牛をつないで草を食べさせるなど、本当に気に入りません。

家の庭をキチンと掃き清め、紫色の革紐で伊予簾をずっと掛けて、布張りの襖を張って住む場合も気に入りませんし、夜になると「門をしっかり締めなさい」と家人に指示しているのは、本当にそこまでの人であるのかと、ガッカリします。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :六位の蔵人でも、勤続五年で五位に叙せられるのですね。

清少納言先生:基本的には、そうなります。つまり大きな将来がある立場です。

舞夢    :そういう大きな将来があるのに、小さな家を買って、コセコセとした生活をしてはいけないと、そういうことなのですか。

清少納言先生:小さな満足に安住するべきではないと思うのです。


六位の蔵人などは(2)に続く。

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