第437話宰相の中将斉信(6)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


斉信様は、簡単に親しい仲になってしまった男女の関係を、「すでに決定的な時に近づいている」などと説明するのですが、それを受けて源の中将様は「私も隠語の意味するところを知ってしまった」などと言い、それを私にも知らしめようと思ったようです。

源の中将様は、

「碁盤はあるのでしょうか、清少納言様と私とで、碁を打とうと思うのです」

「手はどうしましょうか、何目か置いて許そうと思いでしょうか」

「私は斉信様と腕は、ほぼ同じです、差をつけないでいただきたいのです」

などと言い寄ってくるので、

私(清少納言)は、

「そんなことばかりをしていたら、相手と定めた男性がいないことになってしまうのでは、ないでしょうか」と答えたのです。

それを源の中将様が斉信様にお話になられたのですが、斉信様は

「とても、うれしくなるようなお話をなさってくれました」

と、私に喜んでいただきました。

やはり、過ぎた日のことであっても、それを忘れていない人は、私は本当に魅力のある人と思います。


宰相の中将斉信(7)に続く。

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