第435話宰相の中将斉信(4)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


私(清少納言)は、本当にうれしく思い、あの四月の日の事を持ちかけてみたら、斉信様なら、おわかりになるかもしれないと思ったのです。

しかし、そうは言っても突然話しかけて、斉信様から「何のことでしょうか」とおかしなことになってしまうかもしれないとも、思うのです。

そんな状態で、それを利用してあの日のことを言おう思っていると、斉信様は全く記憶を探すようなこともなく、お答えなさったのです。

それについては、本当に素晴らしいことと思いました。

私としても、何ヶ月も早くその時期が来ないだろうかと、内心思っていただけでも、自分勝手に趣味に走ってしまったと自覚するけれど、斉信様は、何故あんなように

しっかりと心の準備をしていたかのように、すぐにお答えができたのでしょうか。

あの時に、一緒におられて、気分を害するようなことを言っていた源の中将は、さっぱり意味がわからない様子です。

斉信の中将が

「あの日の暁のことを注意されているのさ、気がつかないのかい」と、源の中将におっしゃって、ようやく「なるほど、なるほど」と笑っている姿は、面白くありません。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :やはり感性の優れた方と、そうでもない方がおられると。

清少納言先生:何ヶ月も待ったご褒美ですかね。とてもうれしかった。


宰相の中将斉信(4)に続く。

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