第434話宰相の中将斉信(3)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


斉信様は

「今のことは、他人には漏らさないでください、他人の耳に入れば必ず笑われてしまうので」

などと頼み込んでくるのですが、どうやら空がすっかり明るくなってしまいました。

すると斉信様は

「葛城の神も、こうなっては何ともできない」

とおっしゃって、逃げるように帰っていかれました。

私(清少納言)としては、その時のことを七夕の頃にお話をしてみたいと思っていたのですが、宰相の中将は出世なされて参議となってしまわれました。

そうなってみると、七夕の頃には、どうやってお顔を拝見できるのか、方法がわからなくなりました。

お顔を見ることができないような場合には、手紙を書いて、主殿司にでもお願いをして届けましょうと思っていたのですが、思いがけず七日に斉信様が中宮様の御前に参上されたのです。


※葛城の神:人に顔を見られたくないと、夜だけ働いたという神。


宰相の中将斉信(4)に続く。

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