第290話方弘はいみじう人に笑はるる者かな(2)
清少納言先生:続きをお願いします。
舞夢 :了解しました。
やはり、方弘という人物は、言葉遣いが変わっています。
例えば宮中で宿直をするのに必要なものを、里邸(私邸)まで従者に取りに行かせるのですが
方弘は
「供の者二人で行ってきなさい」
と言うのですが
従者は
「一人で十分です」
と返します。
ところが方弘は
「まったくわかっていないなあ、二人がかりで持つ物を、どうやって一人で持ってくるのか、一升瓶に二升分は入ると思うのか」と言うのです。
それを聞いた人々が、方弘の真意がわからないので、大笑いになっているのです。
よそから使いの者が来て
「お返事を早く」
と急かす場合に
方弘は
「全く気に入らない使者だなあ、どうしてそんなに急がせるのか、竈に豆でもくべたのか」
「殿上の間の墨とか筆も、どこの誰が盗んで隠したのか、飯や酒ならみんな欲しがるけれどなあ」
などと返すので、周囲の者は、みな笑うのです。
方弘はいみじう人に笑はるる者かな(3)に続く。
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