第253話五月の御精進のほど(9)

公信様は、卯の花車を見て声も高く大笑いになり

「どういう人がこの御車に乗っておられるのか、予想もできません。やはりご自分でも降りてこられて、ご覧になるのがよいでしょう」と言い、ついてきた者たちも、大笑いになっています。

公信様は

「さて、ホトトギスの歌はできましたか?それをお聞きしましょう」とおっしゃってくるので

私(清少納言)は

「まずは中宮様にお見せして、その後です」と答えるのですが、本当に雨が降ってきました。

公信様は、

「他のほとんどの御門は屋根をつけるのだけど、ここの土御門だけないのは、どうしてかなあ、こういう雨が降る日は、本当に困る」と言っています。


五月の御精進のほど(10)に続く。

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