第181話頭の中将のすずろなるそら言を聞きて(10)

私(清少納言)としては、頭の中将だけではなく、そんなに大勢の男たちが相手だったと聞くと、胸がつぶれる思いになる。

この妹人、兄人と呼ぶことは、帝もよくご存知なので、殿上の間でも則光の場合は官名ではなく「兄人」と呼ばれていた。

さて、則光とそんな世間話が終わり、さあ寝ようと思ったところ、

中宮様から

「とにかくすぐに参上するように」とお召しがあったので、参上した。

中宮様は

「帝がここにお渡りになりまして、その時の話で、殿上人は皆、昨夜の句を扇に書いてしまっていますとのことで」とおっしゃられた。

私としては、思いもかけず大きな騒ぎとなってしまって、何であのような返事を書いてしまったのかと、思っている。

ただ、そんな一件があってからは、頭の中将は私から視線をそらすこともなく、不快の様子もなくなった。


清少納言先生:はい、お疲れ様でした。

舞夢    :やっと、何とかです。

清少納言先生:まあ、こんなこともありました。

舞夢    :お互い、素直じゃなかったと?

清少納言先生:うーん・・・言わない。


頭の中将斉信と清少納言様は、本当は相当深い関係だったようだ。

それながら、衝突する、衝突するけれど、別れられない。

なんとかおさまって清少納言も安心したようだ。

それが、この長い文にこめられている。

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