第180話頭の中将のすずろなるそら言を聞きて(9)

私(則光)としては、本当にうれしかったのですが、「文才とか難しいことにはトンと不向きなので」と申し上げるのですが、

斉信様は

「一言、批評の言を述べるとか、説明を施すということではありませんよ、世の人に伝え聞かすのです」とおっしゃって来るものですが、とても清少納言のお相手にはなれません。

また、全員が上の句を試しにつけようとするけれど、なかなか適当な句がつきません。

結局「どうしても、もう一度返事を返事することもないでしょう」と話がまとまり、「下手な言葉を書き連ねて呆れられるのも、面白くない」として、夜中まで全員が動くこともありませんでした。

このお話は、私(則光)のためにも、清少納言様のためにも、悪くはない話ですよ、司召で少しばかり出世したところで、この良い話に比べればたいしたことはありません。


則光がそんな風に言うので、その説明通りならば、大勢の男が集まって、そんな相談をしていたことも知らず、試されてまでもいたことが、どうにも癪に触る。


頭の中将のすずろなるそら言を聞きて(9)に続く。

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