第172話頭の中将のすずろなるそら言を聞きて(1)

清少納言先生:今日から頭の中将様とのお話になります。

舞夢    :了解しました。それでは訳をしてみます。


「頭の中将斉信様が清少納言様に関係するどうでもいいような根無し言を聞き、ひどく清少納言様のことを貶め、『何であんな人をお付き合いできると思って、褒めてあげたのだろうか』などと殿上の間で言っていらっしゃいます」と、他の人から耳に入るごとに気落ちするけれど、「陰口そのものが本当のことではないですし、事実無根なので、そのうち誤解もとけるのでしょう」と笑って聞き流しておりました。

それでも、頭の中将様が黒戸の近くを通る時に、私の声が聞こえてくると、袖で私を見ないようにとしています。

まあ、そこまでお憎みになるということで、私としても声などかけません。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :頭の中将というのは、蔵人頭で近衛中将を兼任されるお方ですね。

清少納言先生:はい、よくわからないけれど、どうでもいいことで私の陰口を言いふらしていたようで。

舞夢    :先生も、どうでもいいことだからと無視ですね。

清少納言先生:黒戸は清涼殿から北の滝口の陣につながる廊なんだけど、袖で顔を隠すなんて変なことをするものだから、こっちも無視です。


なかなか。清少納言先生に、そんなことをするとは・・・

先生の毅然とした態度もさすがである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る