第171話御仏名のまたの日

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


道方少納言の琵琶は本当に素晴らしい。済政の箏の琴や行義の横笛、経房の笙の笛も耳に心地よい。一通りの演奏が終わり、琵琶から手を離し伊周大納言様が「琵琶の声止んで物語すること遅し」と琵琶行の一節を吟じられたので、私も隠れてはいたのだけど、顔を出すことになった。

「まあ、帝の命にそむいて、罪を犯して恐ろしいものがあるのだうけど、音楽もしかり、大納言様の吟じなされる声も、聞かないではいられないでしょう」

そんなことを言われ、結局笑われてしまった。


清少納言先生;はい、お疲れ様。

舞夢    :いきなり管弦の遊びが始まったのですね。

清少納言先生:地獄絵が怖くて隠れていたんだけどねえ。

舞夢    :結局、引っ張り出されたと?

清少納言先生:今となっては、いい思い出です。


なかなか、雅な世界。

この後、しばらくして伊周は不慮の事件に巻き込まれ、失脚するのだけど、清少納言先生にとっては、それだけに美しい思い出となって残ったのかもしれない。

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