第114話職の御曹司の(8)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


翌日の朝早くのことです。

日が昇るまで、式部の御許と小廂の間で寝ておりましたところ、奥の引き戸をお開けになり、帝と中宮様がお出ましになられたのですが、急な思いがけないことで、起き上がることもできず、途方にくれていたところをご覧になられて、大笑いをされてしまいました。

唐衣を、ただ汗袗の上に羽織って、夜具もなにも、とにかく隠れるようにしている私どものお近くに来られて、陣を出入りされる方を面白そうに、ご覧になっておいでです。

殿上人が私どもの近くに来られて、なにかと言っておられるのをお知りになり、「私たちがいることは内緒で」と笑っておられる。

それから、奥の方に二人して歩いていかれるのですが、「二人一緒についておいで」などと、お言葉があります。

私どもは、「今すぐにお化粧をすませますので」と、お供はしません。


清少納言先生:はい、お疲れ様。

舞夢    :これは、驚いたでしょう。

清少納言先生:まさに、不意打ちでしたから。

舞夢    :その時の先生の顔が見たいものです。

清少納言先生:・・・何かおっしゃりました?


なかなか、次の言葉は返しづらい。


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