第56話説教の講師は(4)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


講師が席について少し経った頃に、数人の前駆を追う者に導かれ、車を下りて来る人がいる。

蝉の羽よりも軽そうな直衣、指貫、生絹の単衣などを着こなし、狩衣姿の者も同じ服装で揃え、若くほっそりした三、四人、お供の者も同じ人数ぐらいで入って来た。

その前から座っていた人々も、少し身体を譲り合い場所を作り、高座の前に近い柱の下に座らせる。

その御方は、かすかな音を立て、数珠をもみながら聴聞をしている。

その姿を見て、講師も名誉なことと思うらしい、懸命に人々に聞こえるよう、熱心に説教をしている。


清少納言先生:はい、お疲れさま。

舞夢    :説教の場所に、位の高い御方がお見えになられたのですね。

清少納言先生:はい、そういう御方とご一緒できるだけでも、名誉です。

舞夢    :講師も自然と説教に力が入り。

清少納言先生:悪い事ではないですね。むしろ幸せかと思います。



さすが、その場の優雅さを求める清少納言先生。

仏法そのものではないとか、非難する研究者はいるけれど、特に悪い事をしているのではない。

信仰は深いものも浅いものもある。

浅いからと言って、非難することは、仏の本意にそぐわないのではと思う。

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