第55話説教の講師は(3)
清少納言先生:続きをお願いします。
舞夢 :それでは、現代語訳します。
烏帽子に「物忌」と書いた札をつけているのは、本来は物忌みで謹慎するべき日ではあるものの、説教を聴聞する功徳のためには出歩くことも問題ではなく、それを見た他の人も認めてくれるという判断なのか。
会場整理係の僧侶と世間話をしたり、女車の手配をするとか、場馴れをしている様子に見える。
しばらく会っていなかった人と、この場で顔を合わせ、懐かしさから近くに座る。
何かを言ってうなずき、興あることを口に出して扇を広く開いて口にあてて笑う。
綺麗に飾った数珠を爪繰ったり、あちこちきょろきょろを目を移し。事の良し悪しを褒めたりけなしたりする。
どこそこの誰某が催した法華八講や納経供養に参画したとか、こうしたああしたを比べて話をしている。
今目の前で行われている説教には耳を傾けることもない。
まあ、こういう人はいつでも聞いている話なので、聞きなれてしまって有難みも感じないのだと思う。
清少納言先生:はい、お疲れさまでした。
舞夢 :結局、物忌みもしっかり守らず、説教もしっかり聞かない。
清少納言先生:単なる社交場ですね。
舞夢 :暇つぶしと言う感じ。
清少納言先生:それでも他人に迷惑をかけない程度に、如才なく。
本来の宗教的意味から考えれば、とんでもないことだけど、人間なんてそんなものかもしれない。
しっかり観察している清少納言先生も、観察されてしまった人も、のん気で面白い。
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