第24話清涼殿の丑寅の隅の(5)

清少納言先生:はい、がんばりましょう。続きをお願いします。

舞夢    :それでは、訳します。


中でも、「古今集」を数多く筆写している人は、全部の歌を記憶しているはずなのです。

中宮様は、お話になりました。

「村上帝の御世でしたけれど、宣揚殿の女御と言われたお方が、小一条の左大臣様の御娘であることは、皆さまはご存知だと思われます」

「それで、その女御がまだ姫君と呼ばれていらした時に、お父上の左大臣から言われた事なのですが

 第一に習字の練習をすること、次に御琴を他の人より上手に弾けるようになること、そして古今集の和歌二十巻を全部暗唱できるようになりなさい 

とのことなのです」

「それを聞きつけた帝が、御物忌みでお暇な時に、「古今集」をお持ちになり、女御のところにおいでになったそうです」

「そのうえ、御几帳を立てて隔てをお作りになられたので、女御はいつもと違うということで変に思っていたそうです」

「帝は、綴じ本をお開きになり、『これはいつの時?どういう機会に?誰の御歌でしょうか」とお尋ねなされるので。几帳を隔てた理由がわかったそうです」

「まあ、それも興味をひかれるところですが、間違って覚えているとか、忘れている句があるとか、すごく心配で恥ずかしさを感じたそうですよ」


清少納言先生:はい、今日はそこまでで、けっこうです。

舞夢    :助かります。

清少納言先生:なかなか。でしょ?

舞夢    :少し性格が悪いって・・・

清少納言先生:まあ、そう思うんだけれどね、普通なら。

       でも、帝や皇后様にお仕えするんですから、最高の学識も必要です。

舞夢    :そうですね、それも大切ですね。

清少納言先生:そういう厳しい努力があったから、和歌の文学も鍛えられた。

舞夢    :確かに古今東西、こんな凝縮された文字文化はありません。

清少納言先生:はい、ありがとう、また明日。


確かに丑寅の隅の話は長いけれど、日本文化を支えた世界が描かれていると思う。

心して訳さないといけない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る