第23話 闇エリ子の転

起。


俺の名前は、光リエ(ヒカル・リエ)。女の名前だが、れっきとした男である。


「女の子が欲しかった!? 男の子が生まれたら、男の子の名前をつけやがれ! 小さい頃から、「リエちゃん? え!? 女の子と思った!」とか、好きな女の子に告白をしては、「私、女の子の名前の人とは付き合えません!」とか、そんなことばかりだ!? 俺の人生で楽しいことなんて、やって来ないんだ!」


と、思いつめ、学校の屋上から飛び降り自殺を図ったのだが、不幸な俺は死ぬことすら許されなかった。そんな俺の前に、レンタル福の神という、偉そうなでキチガイな女が現れ、不幸を幸福に変えるという。俺は、福の神に憑りつかれてしまった。福の神のおかげで、俺にも久野文香という彼女もできた。そして、俺の不幸との戦いが始まった。「貴様の不幸、私が頂こう。」あ~ん、パク、モグモグ、ゴックーン「おいしい!」「ほんとに食うな!」俺の生死の不幸はおいしいらしい!?


富士山が大爆発を起こすという、大不幸から人々を守ることができた。俺と福の神だけでの作品としての形もでき、後は舞台を変えても永遠に続けられる所まできてしまった。ということで、新キャラクターを登場させ、作品の世界を拡げる所まで来た。新キャラ以外は、過去作から再登場という形になる。第1号が地味な佐藤さん。第2号がスケバン・気づかい・猫の3人組。


不幸を呼び寄せる俺は、ついに不幸な神まで呼び寄せた。闇エリ子に憑りついていた貧乏神が俺に乗り移ったが、俺の不幸は貧乏神の貧乏という不幸すら吸収しようとする恐ろしさだった。やっぱり不幸な俺に耐えれるのは、福の神しかいないのだった。


先に先に進めようとすると、進むが頓挫するので、ここで闇エリ子こと、闇エリと貧乏神サイドを書いてみよう。これがアニメとは違う、小説の良い所だ。なんと闇エリは、親の貧乏神を誕生日プレゼントのお人形さんのエリザベスとして、なすりつけられたのだった!? お人形さんの正体が、私の幸福を食べる貧乏神と知ってしまい、貧乏神のエリザベスに憑りつかれた私とのステキな共同生活が始まる。


承。


「エリちゃん、食べていい?」

「半分だけだよ。」


私は、道端で100円を拾った。この幸福の半分を私が、もう半分を貧乏神のエリザベスがペロっと食べた。


「半分、おいしかった!」

「50円を拾った! ラッキー!」

「ハハハハハッ!」


私と貧乏神は、子供の頃に出会い、一緒に過ごした時間が長かったからかもしれないが、仲良く暮らしていた。


「エリちゃんが私の憑りつき先で良かった!」

「私もエリザベス貧乏神で良かった!」

「もしも、エリちゃんが不幸だったら、私はエリちゃんには出会えてないんだ。」

「それだったら、エリザベスが福の神だったら、私は不幸なんだよ。」

「ワッハハハハ!」


恐ろしいが、そういうことである。


転。


「キャア! 幸福が私を襲ってくる! 助けて! エリザベス!」

「なに!? エリちゃんが宝くじで1等前後賞3億円が当たった!? そんな幸運は、私が食べつくしてやる!」

「ダメ! 全部食べないで! せめて1億円は残しておいて!」

「え? 全部食べちゃった・・・。」

「そ、そんな・・・。」

「とってもおいしかったんだもん・・・ごめんなさい。」

「いいよ、貧乏神にだって、間違いはあるもんよ。」

「エリちゃん、優しい!」

「だって、私たち友達でしょ?」

「うん、エリちゃんとエリザベスは仲良しさ!」

「わ~い!」


3億円の幸福を食べられても、二人は仲良し!


結。


「どおしてエリザベスは、幸福を食べれるのかしら?」

「それはね、貧乏神だからさ。」

「そういうもん?」

「そういうもん。」

「今度、テストがあるから、点数を食べちゃあダメよ?」

「え~、エリちゃんは賢いから、いつも通り半分の50点を食べたいな~。」

「ダメよ! 私が高校生に進級できなくてもいいの? あなたは貧乏神! 私が進級できなくて、不幸になったら、あなたはご飯に困るのよ!」

「それは困る! ダイエットします!」

「それでいい。私にどんどん幸せがやってくれば、エリザベスもお腹一杯の幸福を食べることができるわよ。」

「カモーン! ハッピー!」


貧乏神が幸せを祈るというのは、おもしろい。


「やった! 高校に合格したわ!」

「では、高校の合格が取り消されない程度に、エリちゃんの幸せを食べます!」

「どうぞ。」


貧乏神のエリザベスは、闇エリから幸福を手でちぎって取り、ア~ンと口を開け、パクッと口に入れ、モグモグと嚙み、ゴックンと幸せを呑み込んだ。ゲプーと一息ついた。


「おいしかった!」

「良かったね! エリザベス!」

「わ~い!」


私とエリザベスは、仲の良い友達なのです。


つづく。


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