第19話 不幸を呼び寄せるの転

起。


俺の名前は、光リエ(ヒカル・リエ)。女の名前だが、れっきとした男である。


「女の子が欲しかった!? 男の子が生まれたら、男の子の名前をつけやがれ! 小さい頃から、「リエちゃん? え!? 女の子と思った!」とか、好きな女の子に告白をしては、「私、女の子の名前の人とは付き合えません!」とか、そんなことばかりだ!? 俺の人生で楽しいことなんて、やって来ないんだ!」


と、思いつめ、学校の屋上から飛び降り自殺を図ったのだが、不幸な俺は死ぬことすら許されなかった。そんな俺の前に、レンタル福の神という、偉そうなでキチガイな女が現れ、不幸を幸福に変えるという。俺は、福の神に憑りつかれてしまった。福の神のおかげで、俺にも久野文香という彼女もできた。そして、俺の不幸との戦いが始まった。「貴様の不幸、私が頂こう。」あ~ん、パク、モグモグ、ゴックーン「おいしい!」「ほんとに食うな!」俺の生死の不幸はおいしいらしい!?


富士山が大爆発を起こすという、大不幸から人々を守ることができた。俺と福の神だけでの作品としての形もでき、後は舞台を変えても永遠に続けられる所まできてしまった。ということで、新キャラクターを登場させ、作品の世界を拡げる所まで来た。ちなみに俺のクラスメートは、新キャラ以外は、過去作から再登場という形になる。第1号が地味な佐藤さん。第2号がスケバン・気づかい・猫の3人組。不幸を呼び寄せる俺は、ついに不幸な神まで呼び寄せる!?


承。


「こんにちわ。」

「君は・・・。」


俺は、女子トイレの前で、お腹を壊した福の神を待っている。そこに女子高生が声をかけてきた。


「ここで、いきなりサブキャラ緊急会議!!!」

「久野文香ちゃん!?」

「リエくん、ちょっと待っててね。みなさんどうぞ!」

「え!?」

「わ~い!」

「地味! スケバン! 気づかい! 猫!」

「私たちだって出番が欲しい! もう1回位、出番があってもいいだろう! 声優さんもついでに1回撮りでいける! な、いいだろう?」

「わ~い!」

「・・・。」


作者とすると、おっさんが1人増えるので却下。


「作者の世界で貧乏神を持っている女の子がいる。貧乏神のキャラ化は未実装で、文字だけの登場。」

「ふむふむ。」

「しかし! 問題は・・・そいつが正義のヒーローなんだ!」

「なに!? うらやましい!」

「まさか! 主役なのかニャ?」

「なんだと!?」

「でもね、その子は、社長令嬢に生まれたけど、悪の組織に会社を乗っ取られ、父親を殺されて、その子、本人も正義のヒーローになる注射を撃たれた、内職をしながら生計をたてている可哀そうな子なんですよ。」

「うえん! うえん! なんて可哀そうな子なんだ!」

「そうだ! 貧乏神は、その子でいいじゃないか!」

「かわいそう過ぎる! 現代でも内職だなんて!」

「でもね、その子は、中国資本で映画を撮影して、成功をして、内職をやまちゃったの。」

「ブブー!!! 却下だ!!!」

「許せん! 私の涙を返せ!」

「噛みついてやるニャ!」

「みんな、血の気が多いから。」

「リエくん、以上です。」

「いったい何だったんだ・・・。」


ということで、新キャラを創造しよう。


転。


「こんにちわ。」

「君は?」

「私の名前は、闇エリ子。」

「闇エリ子? そんな子いたかな?」

「いる訳ないでしょ、今回が初登場なんだから。」

「アハハ、そうなんだ。」

「光リエ、あなた福の神に憑りつかれているわね?」

「あ、福ちゃん? 福ちゃんは、トイレの中だよ。なんか悪い不幸を食べたらしいんだ。」


俺の不幸が、ちょぼかったのだ。


「いや、いや、そこは、なに!? なぜそれを知っている!? だろう?」

「あそっか、ごめんごめん。 なに!? なぜそれを知っている!?」

「私も憑りつかれているからさ。」

「え!?」

「貧乏神にな!」

「貧乏神!?」

「福の神が返って来れないように、私に憑りついている神をあげようじゃないか!」

「うわぁ!?」


闇エリ子の背後から、おぞましい神がオーラを放ちながら現れ、俺に襲い掛かってきた。俺は、ついに貧乏神まで引き寄せてしまった。


結。


「ああ、スッキリした! ・・・ななな!?」


トイレから出てきた、福の神は目を疑った。福の神が憑りついているはずの俺に貧乏神のお姉ちゃんが憑りついていた。


「び、び、貧乏神!?」

「は~い、この不幸呼び寄せ装置は、私がもらったよ。」

「なんだと!?」

「不幸を呼び寄せるんだ、貧乏神が引き寄せられても、不思議じゃないだろう?」

「そう言われてみれば・・・違う!」

「なら、どちらに憑りつかれたいか、こいつに決めてもらおうじゃないか?」

「望むところだ! 私と一緒に、苦しい時も悲しい時も数々の不幸と戦ってきたんだ! 選ばれるのは私に決まっている!」

「どちらと一緒にいたい?」

「・・・。」

「触っていいぞ。ホレホレ。」

「貧乏神! ぺちゃ。」

「な、なに!? なんだと!?」

「残念だな? 私だそうだ。」

「そんなの色仕掛けの買収じゃないか!?」

「触らせもしないで、男を自分のモノにしようとする、あんたが悪いのさ。」

「なに!?」

「マジメに勉強だけしてる女なんて、男をキャバ嬢に取られて消えていくのさ!」

「クソ! 福の神の私が、貧乏神に遅れを取るとは・・・。」

「貧乏神、最高! ペチャ。ニタ~。アハハハハ。」


こうして俺は、貧乏神にも憑りつかれてしまった。


つづく。



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