第18話 不幸を呼び寄せるの承
起。
俺の名前は、光リエ(ヒカル・リエ)。女の名前だが、れっきとした男である。
「女の子が欲しかった!? 男の子が生まれたら、男の子の名前をつけやがれ! 小さい頃から、「リエちゃん? え!? 女の子と思った!」とか、好きな女の子に告白をしては、「私、女の子の名前の人とは付き合えません!」とか、そんなことばかりだ!? 俺の人生で楽しいことなんて、やって来ないんだ!」
と、思いつめ、学校の屋上から飛び降り自殺を図ったのだが、不幸な俺は死ぬことすら許されなかった。そんな俺の前に、レンタル福の神という、偉そうなでキチガイな女が現れ、不幸を幸福に変えるという。俺は、福の神に憑りつかれてしまった。福の神のおかげで、俺にも久野文香という彼女もできた。そして、俺の不幸との戦いが始まった。「貴様の不幸、私が頂こう。」あ~ん、パク、モグモグ、ゴックーン「おいしい!」「ほんとに食うな!」俺の生死の不幸はおいしいらしい!?
富士山が大爆発を起こすという、大不幸から人々を守ることができた。俺と福の神だけでの作品としての形もでき、後は舞台を変えても永遠に続けられる所まできてしまった。ということで、新キャラクターを登場させ、作品の世界を拡げる所まで来た。ちなみに俺のクラスメートは、新キャラ以外は、過去作から再登場という形になる。第1号が地味な佐藤さん。
承。
「スッキリした!」
福の神は、地味な不幸を食べて、食あたりを起こし、トイレで出してきた。屋上で空を見上げ、腕を伸ばし笑顔で気持ちよさそうである。
「そんなことを大声で言わなくても。」
「大丈夫! 私の声は貴様にしか聞こえていない! ワッハハハ!」
「聞こえてるニャ。」
「え!?」
俺は、屋上の野菜の菜園で、白菜をツンツンしながら座り込んでいる女子高生3人組を見つけた。前回の地味な佐藤さん同様、彼女たちは暗かった。
「あなた方は?」
「さつき先輩!」
「景子先輩!」
「亜希先輩ニャ!」
「ニャって、また変わったのが出たな・・・お腹が痛くなる不幸は、ごめんだ・・・おえ!」
俺と福ちゃんは、また変な不幸な人々と出会ってしまった。
転。
「私たちは、野菜料理コンテストに出場したっきり、出番がないものです。」
「野菜料理コンテスト?」
「そこで、料理上手な私たちは、生野菜のフレッシュジュース3連発に3タテを食らって負けたんです・・・。」
「許せん! この私の完璧な料理が、なんで生野菜をミキサーにかけただけのフレッシュジュースに負けなければいけないんだ!? そんなのおかしいだろう!? これでも私はスケバン設定のヤンキーだったんだぞ!?」
「そうニャ! そうにゃ!」
「亜希、あなたは野菜を切っただけでしょう?」
「ニャニャニャ・・・。」
「なんか関わりたくない人達だな・・・。」
「ヤンキーと気づかいと猫が混じった不幸だな・・・。」
「景子さん、あなた疲れるでしょう?」
「はい。でもこんなバランスなので、お友達でいられるんです。」
人間関係って、バランスだよね。
転。
「ということは、そのままでいいということですね!?」
「やった! お腹を壊さなくて済むぞ!」
「そうですよ! お友達のままでいたいですよね!? 皆さんから不幸を取っちゃったら、個性が死んじゃいますよ!?」
「それでは、みなさん、さようなら!」
逃げようとする俺と福の神。しかし、不幸を集める、リエの呪いは発動した。
「うわぁ!? ヤンキーと気づかいと猫の不幸が俺に集まってくる!? 福ちゃん! 早く助けて!」
「助けなくちゃダメか?」
「そんな嫌そうな顔しないでニャ!」
「おえ! 貴様、語尾が猫言葉になってるぞ・・・。」
「おまえ福の神だろ!? 俺の不幸を食べるのが仕事だろう!?」
「そうだったっけ? アハ。」
「ブリッコしないで、さっさと食べて下さい。」
「フフフッ・・・私は気づかいの不幸が出てくるのを待っていたのだ!」
「待たなくていい!」
「貴様の不幸、頂くよ。」
福の神は、俺にまとわりつく不幸を手でもぎ取り、ア~ンと口を開けて、パクっと食べて、モグモグと噛み、ゴックンと呑み込んだ。そしてオッサンのように、プワーと一息吐いた。
結。
「おいしかった・・・ニャ。」
「ニャ? 福ちゃん、語尾が猫言葉になってるぞ!?」
「そんなことはないニャ・・・ニャに!?」
福の神は、困った不幸を食べたようだった。
「景子、亜希、私たちは、いつまでも、友達よ!」
「仲良くしましょうね!」
「そうニャ!」
「ワッハハハハ!」
女子高生3人組は、不幸がなくなり、幸せになりました。
「こ、これのどこが幸せなんだニャ・・・。」
「大丈夫か!? 福ちゃん!?」
「貴様・・・しょぼい不幸ばかり食わせやがって・・・もう少しマシな不幸を食わせやがれニャ!」
「そんなことを言われても、向こうから勝手に集まって来るんだ。俺にはどうしようもない・・・。」
「確かに、不幸な天変地異だけでなく、近くにいる不幸な人間まで集めてやがる・・・なんて強い不幸収集機なんだ!? う!? ニャ!?」
福の神のお腹がゴロゴロと鳴って、ピピーを迎えた。
「私は、これから女子トイレに出撃するニャ! これ以上、事態が悪くならないように、貴様は私から離れるな! 女子トイレの前で待機! 以上ニャ!」
「アイアイサー!」
こうして福の神がトイレで戦っている頃、俺は女子トイレの前に立っていた。
「こんにちわ。」
「ん?」
俺の前に不幸がやってきた。一人の女子高生が声をかけてきた。
つづく。
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