俺には〇〇が憑いている!?
渋谷かな
第1話 起承転結の起
起承転結の起。
作者が渋谷区民ということで、舞台は渋谷。そして、作者の作品ではお馴染みの渋谷キャラ高校。位置は、渋谷西武百貨店B館を仮想で設定している。
場面は、渋谷キャラ高校の屋上から始まる。ご存知の人は知っている、屋上には、野菜の菜園があったり、食パン屋とあんこ焼き屋がある。さらに、最近では、観覧車やメリーゴーランドのある、東京シブヤーランドが完成した。
そんな屋上で、一人の男子生徒が屋上から飛び降りようとしていた。男子生徒の名前は、光リエ(ヒカル・リエ)。渋谷にある、ヒカリエから頂いた。そして、そこから冒頭のネタも頂いた。
起承転結の承。
「どうして・・・どうして、男なのに名前が、リエなんだ!?」
光リエは、破れかぶれで、屋上で叫ぶ。
「女の子が欲しかった!? 男の子が生まれたら、男の子の名前をつけやがれ! 小さい頃から、「リエちゃん? え!? 女の子と思った!」とか、好きな女の子に告白をしては、「私、女の子の名前の人とは付き合えません!」とか、そんなことばかりだ!? 俺の人生で楽しいことなんて、やって来ないんだ!」
不幸話に興奮してが、落ち着いて、神妙な表情になる。
「し、死んでやる・・・オカマ扱いされるぐらいなら・・・俺は死んでやる!!!」
光リエは、屋上の落下防止用の柵を手で握り、よいしょっと、力を入れて飛びあがり、柵の上部に足をかけ、柵を飛び越えた。
「これで後は屋上から飛び降りるだけだ・・・。」
光リエの前には、空しかない。空気の空間が広がっている。少しの微風が、光リエの体を揺らす。光リエは、死ぬかもしれないという恐怖感で体が震えている。
起承転結の転。
「よし、いくぞ。」
光リエは、唾をゴクンと呑み込んだ。決心が固まったようだ。
「死んだら異世界に転生して、チートでハーレムを作って、ウハウハ楽しく生きるんだ!!!」
死んでも異世界には、転生できない。
「さよなら・・・女の名前。さよなら・・・オカマ。」
光リエは、よっぽど「リエ」という女の名前が嫌なのだろう。オカマと決別することを選んだ。
「俺は、男だ!!!」
そして、叫びながら飛んだ! 屋上から降下していきながら、瞳を閉じて、地面にぶつかる瞬間を待っている。
(今までの人生ありがとう。今度、生まれ変わったら、男らしい名前になるんだ。)
光リエの短い人生が終わろうとしている。もうすぐ体が地面にぶつかろうとしている。
起承転結の結。
(あれ? なかなか地面にぶつからないな? それとも痛いと感じる間もなく、俺は死んでしまったのか?)
光リエは、恐る恐るつぶっていた目を開けてみた。
「ええ!? なんだこれは!? カラス!?」
渋谷の栄養満点なツヤツヤの黒い羽根を羽ばたかせた、巨大なカラスのくちばしに、首根っこを掴まれていた。カラスは上空に上昇していく。
「離せ! 化けガラス! 俺を食べてもおいしくないぞ!」
「カ~ア、カ~ア。」
死のうとした人間が、必死に生にしがみついているのは、なんとも滑稽である。手足をバタバタさせて抵抗する光リエを、カラスはニヤッと笑い、屋上の上空からポイッと、光リエを落とす。
「離さないで! ギャアアアア!?」
ドスン! と光リエは、屋上に叩きつけられる。
「イタタタタッ・・・、俺は女の名前だけでなく、死ぬこともできないのか!? なんて不幸なんだ!?」
屋上の床に尻餅をついて、お尻をさすりながら、自分の不幸を嘆く。
「クスクスクス。」
光リエの不幸な姿を上空に浮きながら、笑っている少女がいた。
つづく。
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