第8話 8 課金アイテム
自宅に帰って来た、兄、紫茄子男(ナスビ)は、警視庁サイバー犯罪対策高校の特殊アバターをやめ、一般人として、茄子の着ぐるみパジャマを着て、渋谷EEGgamesを楽しんでいた。
「くらえ! 僕のナス!」
ナスビは、SPのキパゲマ、茄子を投げて、今日のボス、織田信長に投げつける。しかし織田信長は、ビクともしなかった。
「クソ! 今の僕のレベルじゃ勝てないのか・・・、昼間も一般アバターが使えれば、レベル上げもしやすいのに! クソ!」
ナスビは、非常に悔しがったが、将来は安定の公務員確定コースをゲームのために手放す訳にはいかなかった。悔しい心の葛藤があった。
もちろん、課金アイテムとして、信長を後ろから攻撃できる、助っ人の明智光秀は
販売されているのだが、3000円も中高生には課金できなかった。位置情報ゲームではあるが、1回1000円で歩かなくても、すぐに織田信長と戦え連戦できるアイテムも売っている。
大人やお金持ちの子供は、助っ人を買い、連戦しまくるので、課金額は半端ない。1日の売り上げは、1兆を超える。地球上で脳波ゲームができるのが、日本の渋谷だけなので、中東の王族や石油王、最新技術を体験しに、マイクロソフトにグーグル、ヤフーなど、世界のIT企業が渋谷に日本本社を設けた。
「クス。」
兄のナスビが、今日ボスに手間取っているのを見て、妹のブッコは、笑った。
「お兄ちゃん、私が共闘してあげようか?」
「いらない。ブッコのうさピョンは、僕のチェリーちゃん~♪ より弱いだろう。」
「ふん~、いいんだ~。じゃあね、おやすみ~♪」
いつもは、「お兄ちゃん、構ってくれないと、ブッコ死んじゃう!」と騒ぎ立てる妹がすんなりと部屋に帰って行ったのが、少し不気味だった。
(少し、言い過ぎたかな?)
兄は、少し反省するのだが、妹よりゲームの方を優先する兄であった。
「クソ! また負けた!」
妹を大切にしない天罰として、兄は、今日ボスには勝てなかった。
つづく。
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