蛇の誘惑
突然だけど聖書っていうのは第三者の視点で描かれているんだ。決して一人称じゃないから注意してね。
でも第三者の視点って神様視点とも言うよね。
だからこれからも全知全能の私の主観で物語を話していくよ。
さてさて、私が創った野の獣のうちで、一番頭がいいやつはなんだと思う?
実は蛇なんだよね。え?意外?まぁそうだろうね。ここで言う蛇は君たちの想像している蛇とはまったくの別物。
見た目はよく分からないけど、原語のヘブル語において、「蛇」には「輝くもの」という意味も持っているんだ。非常に魅力的な動物だったんだろうね。
そんな蛇が女に近づいてきて言いました。
「これはこれは女さん。一つお尋ねしたいことがあるのですがよろしいですか?」
「何?今私チョー忙しいから、くだらないことだったらその頭を踏み潰すわよ」
「ええ……」
ええ……。あとネタバレすんなし。
「じゃ、じゃあ手短に。あなた方は神様から、『園のどんな木からも食べてはならない』、と言われたのですか?」
「いや、それじゃお腹減っちゃうじゃん。私らは園にある木の実を食べていいんだよ。でも何故か中央に生えてる木の実だけは『食うなよ!絶対食うなよ!死んじゃうからな!』って命令された」
ちょっと表現が違うような……。まぁだいたい合ってるからいいか。
そのセリフに蛇は目を光らせながら言った。
「あなた方は決して死にません」
あ、コイツ嘘つきやがったな。
「何?どういうこと?」
「あなた方がその木の実を食べるその時、あなた方の目が開け、あなた方が神のようになり、善悪を知るようになることを神は知っているのです」
初耳なんですけど。
「……よく見たら確かにあの木の実、美味しそう」
……え?マジで?神様よりそこの蛇の言うこと信じちゃうの?
「おーい!女さん!何してるんスか?」
「あ、男。いや今から中央の木の実食べようと思ってさ」
「え。でも神様がそれはダメだって……」
「はい、取ってきたわよ。一緒に食べましょう」
「頂くっス!」
躊躇なしかよ。
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