第35話 西⑸

「警察スペース吉澤で検索、っと」


 西はキーボードのエンターキーを押した。結果の候補がスクリーンにずらりと並ぶ。最初に目に着いたのはやはり一番上。警視庁の公式ホームページだ。


 警察……予想外って程ではない。まあ、頑なに拒んでいた警察官に態度を一変させたのだから、候補のうちには入っていた。嘘じゃない。


 青いリンクの下には、薄い黒字で検索ワードの出てくる前後一部がピックアップされている。目で追っていく。


 吉澤よしざわのぼる……いやいや、違うよね」


 現場で先輩と会う直前のこと、私はあの執事を再び見かけた。いや、気になっていたから見つけたというべきかな。彼は傘をさしていた。自分のためじゃない、少し前を歩く女の子に傘をためだ。ゴシックロリータファッションの眼帯をした女の子。

 もし仮に、彼が本当に執事なのだとしたら、彼女に仕えているとみて間違いないだろう。少し会話をしていたのを盗み聞きすると、どうやら中に入れたのは、「吉澤さん」のおかけだったと判明した。


 調べてみようと思ったんだけど、先輩がやってきちゃって、本堂さんから「すぐ帰って来い」とのお達しの電話が来たっていうんだから、仕方がない。


「電話越しにでも額や顔に怒りの筋を作っているのが分かるぐらいの怒鳴られちゃった」


 先輩のその一言で身体中の細胞が震え上がった。とはいえ、少なからずそうなるんじゃないかなーとは思っていた。勿論、怒鳴られた理由は分かっている。任されていた特集のブイを撮っていなかったから。そして、店を放ったらかしにしたことへの、あと先輩が愚痴ったことへの苦情が局に入ったからだ。


 だけど、目の前のことに集中し過ぎていたがためにそのことを綺麗に忘れていた。怒られると分かった途端逆に、吉澤さんを調べることが脳内から吹き飛んでしまい、そして、さっきまで消し去られていたってわけ。


 島を出て局に帰り、一番にデスクに向かうと、両腕を組んで顔を真っ赤にした本堂さんがいた。すぐそばの椅子に座らず、仁王立ちをしていた姿はもう恐ろしいのなんの……


 嫌々ながら近づいていくと、顔じゅう赤いことに気づく。


「さっさと来いっ!」相手も見えていたんだろう、デスクどころか広いオフィスが静まり返るほどの大声で叫んだ。激昂してることはたちまち理解した。急いでいた足をさらに早まらせ、そばまで駆け寄る。


 結果から先に言うと、そのまま1時間叱られた。ひたすら叱られた。いやはや、辛かった。立ったままだったからではなく、大勢がいる前で叱られたから。皆各々に様子を伺うべくチラチラと盗み見てきたり、声の聞こえた他部署の人が訝しげにやってきたり。読唇術を身につけているわけじゃないけど、「何があったの?」と話しているのはすぐに分かった。恥ずかしい恥ずかしい。


 叱責の最中、5分毎に「クビだクビだ」と連呼された。けれど、撮影していた映像データを独占として報じられたことと、手柄を本堂さんに渡すということで、辛うじてチャラにできた。


 人質のための身代金のように先輩が、無理矢理払わされた代償に対し、これでもかと不満をぶちまけてきたのをよく覚えている——




「なんでなのよっ!?」先輩はコップを激しく置いた。中からコーヒーがはねる。「うちらの手柄をなんでアイツのおかげみたいにされなきゃいけないの!?」


 さっきから気が立ちっぱなしである。怒られ終わってから、もう数十分は経過しているのに怒りは収まるどころか、悪化の一途を辿っている。抑えられていない、というより抑える気がない。とにかく理不尽極まりないことをされたと、延々とまくし立てていた。


「あれだけ怒鳴り散らしたくせに、『いやーどこよりも近く鮮明な映像が撮れました』なーんて上にはペコペコ言っちゃってさ。さも自分の教育の賜物みたいに。誇らしげに高くした鼻をへし折ってやりたいわっ!」


 まあ気持ちは分からなくもない。いくらスムーズに情報を得られたということがあったとしても、私たちが必死な思いで得たものをこうもあっさりと取られてしまうというのは私だって釈然としていない。


「それがあったから私たちが首の皮一枚で繋がったっていうのもあると思いますよ?」


 けれどぐっと堪えて私は返す。それに、雇われの身なのに好き勝手したこちらにも少なからずの非はあるかなーっていうのは多少あったし。


「ほら、憧れの報道で流すことができた……」


 私はどうにかしてなだめようとするも、先輩はキッと般若顔で睨みつけてくると、「るっさい……うぅ……童顔巨乳!」と怒号を浴びせられた。思わず仰け反る。考える前に、反射的に体が動いた。


「い、今それ関係あります?」


 私は眉を弱々しく寄せる。なんでこのタイミング?


「と、とにかく……私は許せないの!」


 慌てながら先輩は語気を強めた。メガネが目線から明らかに落ちているが、気にしていない。それとも、気にならぬほど怒っているのか。


 考えるに、怒りをとりあえず顔を向けてみたけど、私はむしろ先輩の仲間。先輩の脳内では訳が分からなったんだろう。


「あぁっ! 考えれば考えるほど悔しいし、腹が立つぅ!! キィー!!!」


 頭を掻き毟る洲崎さん。髪が舞い、無造作に乱れていく。




 ——ああいう姿を見ると、先輩がモテないっていうワケが垣間見えてくる。元はいい。かなり美人だ。まあ当然といえば当然なのだろう。だって、元々は……


 突然、左肩がずしりと重くなる。顔を向けると、先輩が肩に顎を乗せていた。


「なーに、サボっちゃってるのよ」


 壊れた機械のように、酸素を供給している金魚のように、口をただパクパクと動かす。


「サボりじゃありません」私は顔を元に戻す。「この前の立て籠もりの件で気になることがあって」


「今やるべきことは始末書の作成。厳密には言えば、それだって一応はサボり、よっ」


 先輩が顎をどかす。肩が一気に軽くなる。


「けど、まあいいんじゃない? どうせ、この部屋に私たち以外誰もいないし。見張る人も見回る人も、監視カメラさえもないんだから」


 そうだ。だから、私も正々堂々とサボ……調べていたのだ。


 収まってから4日後、つまり事件が起きた日から丁度1週間が経過した日、事態は急変した。文字通り、急激に変化したのだ。


 私と先輩に内示が出た。“資料保管室”という部署。名前からして仕事内容は何となく分かったものの、そもそもそんな部署があるのかと疑問に思った。これまでに聞いたことがない。


 廊下に備え付けられた緑のボードに画鋲で止められるA4紙1枚を眉をひそめながらまじまじと眺めていた。そんな時、どこからか女性2人のこんな会話が聞こえてきた。


「洲崎さんと西、資料保管室に左遷だって」


「資料保管室ってあの?」


「ええ。あの、陸の孤島」


 少なくとも良い場所ではないことはすぐに理解した。だって、陸の孤島なんて言い方は悪い時にしか使わないだろうし、最後に絶望しか感じ取れない声色と調子で「うわぁ……」と言っていたし。


 陸の孤島に左遷、という他局で大人気刑事ドラマの中でしか聞いたことない文言に、内心だけでなく体全体が震え上がった。

 けど、本堂さんに聞いてみたら、というか半分抗議の気持ちだったんだけど、すぐに「一時的だよ」というこの上なく嬉しい答えが。お仕置きという意味での配置転換らしい。


 代わりに、異例中の異例であろう翌日からというなんとも乱暴極まりなかったがために、私と先輩は慌てて用意し中に詰めたダンボールを両手で抱えて、向かった。


 場所は地下3階という局で最も地下にあり、なおかつ職員用の出入口と真反対に位置していた。ねずみ色の少し錆びた事務机が3つがあり、うち2つは向かい合って椅子付きで置かれ、1つは椅子無しである。荷物置きに丁度いい。その後ろ、部屋の大半は色とりどりのファイルに綴じられた資料が何列にもわたって並べられている。外からの光は当然無く、白色電球が天井に敷き詰められているだけ。


 人事の人から、過去に調べた紙媒体の資料を保管しておく部屋の監視と必要な時は資料を見つけ提供することがここでの仕事だと事前に教えられた。


 確かに、時代を反映してタイムリーなことを発信しなければいけないテレビ局としては、制作や編成をするどころか情報さえもろくに入ってこない場所ではあるから、“陸の孤島”という表現はこれ以上ないくらいにピッタリだ。


 で、仕事を始めてみるも、ま〜暇。暇中の暇。ひとっこひとり来やしない。世界ってもう滅びたんじゃないの?ってぐらいに、ホントに誰も来ない。


 その時、悟った。私が知らなかったワケと「必要な時は」の意味はこういうことだったのかって。まあ伸び伸びできるし、こうして自由気ままにひたすらに色々と調べることができるから、悪い事ばかりではない。

 ただ他メディアよりも深く、一分一秒早く、一文一単語多くを常に争うような張り合いがないから、報道志望の私としては、差がついてしまうのではないかと焦る気持ちはある。でも、戻れなくはないんだから。


「回線はどう?」


 先輩は自分の席に座り、メガネを外し、その手を口元に寄せた。


「滞りないです」


「じゃあ、良かった」


 先輩は「あっそうだ」とメガネをかけると、両腕を机に置いて上半身を寄せてきた。「聞いた? 銀行強盗犯たちの計画」


「いや」と応えると、先輩はにんまりと笑みを浮かべ、「なら、教えてしんぜよう」と握った拳を左右それぞれに腰へと当てた。「まず、あのアイツらはしようとしてたの」


「……はい?」瞼が激しく瞬きを繰り返す。


「グループの中に機械に詳しい人間がいてね、手に入れたヘリをリモコン操作できるように改良し、飛ばして海の上でボンッ」


 手のひらを上にして、閉じていた指を勢いよく開いた。


「それを、無人のまま?」


 けど、それだとヘリを手に入れようとした理由が分からない。


「無人ではあるけど、ちゃんと積む物は積んでね」


「物?」


「お金よ、お・か・ね」


 お金……確か700万しか盗まれなかったはず。銀行強盗なのに、現金が盗まれなかったってことが妙に印象に残ってた。


「でも、なんで?」


ため」先輩は片眉を上げる。「ほんの少しでもお金の切れ端が見つかれば、警察は死んだって考える。それも、ヘリの操縦をミスった事故死だってね」


 成る程。


「それに、ヘリが爆発したら、辺りはパニック状態になる。警察もその対処に追われて、人員を割く必要がある。手薄になるってわけ。誤魔化すために、わざと人質の前でヘリで逃げることを強調したそうよ」


 だから、要望は橋の解放じゃなくて、ヘリだったんだ。


「なら、逃走手段は?」


 そこまで計画していたのなら、考えていないはずない。


「橋の下に小型の漁船を事前に用意してた。船内には漁師風の服までね」


 混乱に乗じて逃げる作戦だったってことはつまり、本当に最初からヘリで逃げる気は無かったんだ。無計画で緊急処置的な行動かと思いきや、まさか全ては計算していたってことだとは……


「であれば、強盗の本当の目的は?」


「忘れたの? 綺麗に盗み切ってたものがあるでしょう」


 俯いて考える。だけど、すぐに分かった。


「あっ、宝石」


 そう言うと、先輩は笑う。分かってきたわね、という表情だ。


「宝石類は一度売られてしまえば、辿ることは難しい。ネットが普及してる今、闇サイトとかで売買すれば足がつかないし、中々な金額になりやすい。今の時代、現金よりも扱いやすいわ」


「成る程成る程」


 胸につっかえていたものがすっと取れた気がした。やはりヘリはおかしいと思った私の勘は間違いじゃなかったみたいだ。もしかして、私も鋭くなってきたかも。


「ここまで分かってるのに、なんでリーダーが全身複雑骨折となったのかだけは、不明のままなのよね〜」


 髪をかきあげる先輩。


「上は頭蓋骨、下は足の小指の骨。ありとあらゆる骨がバラバラ」


「死ななかったのが不思議ですよね……」


「不思議通り越して、怪奇現象よ。都市伝説的奇妙さよ」


 確か昨日か一昨日に、都内の病院へ移ったはずだ。


「どっかから落ちたんですかね?」私は前から思っていたことをボソリと呟くように話した。


「そうなんじゃない? てか、それぐらいしかないでしょ」


「ですよね」


 誰かが殴り飛ばしたからなんていう到底信じられない荒唐無稽な噂が立っている。それほどまでにあの中で何が起きていたのかは不明なのだ。


 中のことは箝口令かんこうれいが敷かれているようで、警察関係者は誰も教えてくれない。厳密に伏せられている。実は亡くなった方がいるから配慮してではないか、というのが理由ではないかというどこから出た噂も出たけれど、それはすぐ否定された。まあ、それはなさそうだけど。


 となると、まだ分からないことが多いからなんだろうな。多分、アレだ。あの、ブリリアンツとかいう怪盗団じゃないか。結局、絵画は小さな絵が一枚、1階のフロアに傷が付かぬよう施された状態で置いてあったものの、それ以外は全て盗まれてしまったと聞く。おそらくだけど、警察は行方を追うべく、犯人たちに情報が漏れぬよう敢えて伏せているんだろうな。


「はぁ〜あ〜」


 先輩は椅子を少し引いて体を斜めにすると脚を組んだ。続けて、机に肘をついて、手のひらに頬を乗せた。前にこんな感じの姿勢をしているデッサンを美術の教科書で見たことがある。


「そういえば、あのショッピングモールはどうなったの?」


「改めてオープンするみたいです。2ヶ月先送りで、4月から」


「2ヶ月……あれだけのことが起きて壊されても、すぐに直してオープンとは……流石、金戸グループの傘下ね」


「えっ、あそこも?」思わず眉が上がった。


「決まってるじゃないの」足を解いた。「あの島は大体が金とグループ系の企業よ」


 法律関係は詳しくないけれど、そんなに自社企業が多くあって、独占禁止法的な法律には引っかかったりしないのだろうか。

 まあ、昔からそういう風にしてたんだろうし、確かそもそも人工的に作った島だから、大丈夫なのかな?


 あっ、そういえば。


「先輩、始末書は?」


 机の上にそれらしき物は見当たらない。もしかして素振りを見せなかっただけで、実はもう書き切ってるパターン……


「いや」先輩はクリップで止められた小さな紙の束を持って見せた。「メモ紙代わりに破ったわ」


 はぁ!?


「じゃ、じゃあもう書けないじゃないですか」


「書く気無いんだから別に問題ないわよ」


「人のこと言えないじゃないですか」


 私より酷い。もうやり直し効かない。先輩はメガネを外す。メガネ拭きを手にすると、レンズを拭き始めた。


「あんなの書いたって、戻れるわけじゃないんだし」


 はい?


 先輩はレンズを光に当てる。


「一時的なんてウソに決まってるでしょ」


 思わず絶句。言葉を失ってしまう。


「もし罰としてここに入れられたんだとしたら、代わりに同じようなことをした人間らが送られて来なければおかしいのに、見てよ。ものけの空。罰するというわりには、手薄というか何というか」


 い、言われてみればそうだ……


「そもそも」メガネをかける先輩。「こんな僻地に一時的に飛ばす罰なんて、聞いたことない。古今東西、どの局にもあるわけない」


 私より長くいるからこその勘だろうか、それとも私の知らない情報を得ているのか。いずれにしろ、焦りと不安が襲ってくる。


「ど、どうしましょう……」恐怖もだ。


「いい?」


 先輩は再び上半身を折り、顔を近づけてきた。


「必死になって、成果を残すの。結果をもぎ取るの。そして、こいつは必要だって思われるような人間になって、制作でもなんでも引っ張られなさい。でなきゃ、終わりよ」


 冷静に諭してくる先輩。現実をまじまじと言葉で聞かされ、私は強張る。生唾を飲み込む。緊張しているのか、音が鳴る。


「こんな、いてもいなくても変わんないような部署で良かったじゃない。とにかく取材しまくって、地下から地上へ這い上がるの。いいっ?」


「は、はい」


 私は首を動かし、目で耳で示す。腹をくくる。最後の背中を押すような大声のせいじゃない。ちゃんと私の心で決めた決意だ。


「じゃあ、早速次のテーマ決めましょ。何かない?」


「その立て籠もり犯のリーダーの骨折理由を探るのは?」


「そんなのもう他にどっかしら追ってる。今からじゃ、とてもじゃないけど、追いつけない。はい、他」


「そうですね……」斜め上に視線を向けた。


 あっ。閃いちゃった。正確には、思い出しちゃった。


 私は先輩の顔に動かし、一言。


、ってどうです?」


「探偵?」


 先輩は組んでいた脚を解き、体を私の真正面に向けてきた。興味は無いわけじゃなさそうだ。


「はい。どうやら警察が頼ってる探偵がいるそうでして」


「警察が頼ってる探偵……」


 虚空を見て、先輩はしばらく考えた。すると、突然目を輝かせて顎を引いた。


「面白そうじゃないのそれ」


 先輩は手を上げて空に手を置き、「混沌とした島で、警察が絶大な信頼を置く凄腕探偵”」と横にスライドしていった。


「まあ、衛星放送の深夜帯にはなるだろうけど、この手のことが好きなプロデューサー知ってる。放送してくれる可能性はあるわ。話題になっている事件ついでにまとめられれば、話題性だってある。ネット界隈の賑わいは十分見込める……よし決めた! いきましょ!!」


 先輩は勢いよく立ち上がった。


「ん、えっ、あっ……」吃る私。「ええっと、その、いきましょう、というのは?」


「そのままよ、レッツラゴーよ」


「行くのよ、もう一回。あの島に」


 ……いやいやいやいや。


「そんな好き勝手に出来ないですよ」


「当然出張費とかは出ないだろうね。けど、出来る出来ないは別。自分がやるかやらないか、問題はそれだけよ」


 動き回るからとリードを離せば、ペットの犬はどっかへ行ってしまう。時に飼い主が見えなくなるところまで。そうなればもう、何をしでかすか、やらかすか分からない。なんか、これからそんなことが起きそうでならない。


「そもそもこんな監視カメラもない地下の、1日に1人来るのか来ないのか分からないような部署に私たちを送った奴らが悪いのよ。暴れまわっちゃいましょ」


 やっぱり危険だ……危険過ぎるよこの人は……


「西、何その顔?」顔が曇る。「這い上がりたいんでしょ?」


 ええっと……


「でしょっ!?」


「は、はいっ」強い語気に思わず返事をしてしまった。途端、満足そうな怪しい顔になる。


「なら、無駄に悩んでない!」先輩は机を勢いよく叩いて立ち上がった。「その探偵を見つけて、必ず密着取材よっ!!」


 流れるようにいつものカバンを抱え、部屋を飛び出して行く。


「えっ、ちょ、先輩!?」


 叫んで止めようとするも、全く効果なし。たっぷり睡眠をとった7歳児の少年のように元気いっぱい。


「ホントに今からぁ……」


 1人ぼっちの室内に響いたのは、私の虚しい声と直後の駆け足だけだった。

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