ニュートンを信じるわたしが神を信じるきみに論破されるはずがない

本間俊スケー

第1話 ケーキ

大きなケーキを前にして、包丁の動きが止まる。



だめだ . . . どうしても分けることができない。

スポンジ部分はいけるんだ。 狙った通り しっかり5等分。完璧だ。

そこにはリズムがあり、静けさがある。


問題は真ん中の砂糖でできたサンタだ。


しっかり自分の仕事を遂行できない。そのことに苛立ちよりも焦りが大きくなる。 わたしはナイフを構え、サンタと向かい合った。



「はい ありがとう。 やっぱりこういうことは知ちゃんに頼めば間違いないね。」

そういってお母さんは満足そうにケーキを取り分ける。



違うよ。お母さん、まだ終わってない。

わたしはまだ任された仕事をやりきってない。





渡されたケーキにのせられたサンタがわたしの不甲斐無さを笑っている。

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