道具屋勇者
トマトも柄
第0話 プロローグ
これは数年前の記録。
この世界には我々人間と、破壊を司る魔族がいた。
我々は戦ったのだが、魔族には力及ばず、不利であるのは目で見るより明らかだった。
このままでは我々は負けてしまう……その時に、救世主が現れたのだ。
その者は剣技を備えており、さらに精霊との契約により、魔法も使えていた。
その者の力は強力で我々が苦戦していた魔族達を葬っていったのだ。
我々はその者と協力し、魔族をどんどんと追い詰めていったのだ。
しかし、形勢が我々に有利となったところである者が現れる。
その者は魔族を統べる魔王であったのだ。
魔王によって、再び苦戦を強いられてしまう。
魔王の力は強大で、その者も魔王の力によって苦戦していたのだ。
その者は勇敢に立ち向かい、魔法を使い、剣を使い、魔王と互角に渡り合っていた。
そして、その者は魔王を打ち倒し、勝利を得る。
我々は勝ったのだ。
魔族に勝ったのだ。
しかし、魔王はある一言を残していく。
「人間よ。 我に勝ったと喜ぶか。 滑稽だな! 我は何度でも蘇る! お前達がいくら協力しようと最後に勝つのは、我である! 我は再びこの世界を破壊に染めて見せよう。 人間よ、我が再び来るまでの間の余生を今の内に楽しんでおくんだな。 フッフッフッ! ハーハッハッハッ!!」
我々はその言葉を真に受ける事は無かった。
魔王はその場で討たれたのだから。
そして、我々は平和を手に入れたのだ。
しかし、一人だけその言葉を受け止めている者がいた。
我等の救世主のその者である。
その者は魔王の復活を阻止するために、一人で旅をすると言いだしたのだ。
魔王は蘇らない、我々はその者に何度も言い聞かせたが、その者は言う事を聞かなかった。
その者は念の為だと言っていた。
そして、その者は旅に出ていった。
この文を読んでいる者よ。
この話は空想でもましてや妄言でも無い。
全て、真実なのである。
もし、魔王が復活を遂げたのならば、その者に助けを求めてくれ。
その者はきっと助けてくれるであろう。
この出来事を後世に残しておく。
忘れてはならないように。
カルベニア・アンダー
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