また君は笑っていた
狂音 みゆう
白の彼
整った純白の世界を濁す。僕は、いつも彼の部屋に来る度に、そんな感覚を感じてしまう。ただ、この戸を叩くのは止められない。この部屋の主が魅力的だから、とか浮ついた理由も僕の中にはあるかも知れない。でも、僕はきっとまた君は僕に笑顔を向けてくれるから。君が僕に僕に似た誰かへの愛情を僕に向けてくれるから、戸を叩く。
「響だけど。入っても、良い?」
扉の向こう側にいる君に声を掛けた。
暫くすると、僕のいる外側のノブも周り、君が顔を出した。
「あぁ、響。どうぞ。」
_
白離の後ろに広がる部屋も、一輪の花以外の色彩などほとんど無くて、無彩色そのものだ。…僕が愛してやまない彼とは、真逆の意味での無彩色だ。
引き込まれる様に部屋に入ると、白離の座っていたであろう場所の隣に腰掛けた。
「珈琲で良いかな?」
優しい声で問い掛けて来た。良いよ、と軽く返事を返すと、吸い込まれて仕舞いそうに黒い珈琲を淹れてくれた。
机の上には飲みかけの紅茶が置いてある。白離の飲んでいた物だろう。
白離が僕の隣に腰掛けると、柔らかな笑みを浮かべて話を始めた。
「今日は、何を話そうか。」
また君は笑っていた 狂音 みゆう @vio_kyoyui
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