夢
『絶望』が『
―—やめろ……やめてくれ!
俺は喉がつぶれるほど声を出し、体が引きちぎれるほどに手を伸ばす。
どれだけ声をからしても、どれだけ手を伸ばしても『奇跡』は何も起こらない。
俺の前で『
―—お願いだから……やめてくれ……!
「うわぁあああああ! いやだ! いや」
笑顔の『
「ああ……ああぁあぁああああぁあぁぁぁあああよくも! よく」
チームを組んでいる『
「…………」
老獪の『
貫き潰し飛ばしてちぎって殺して殺して殺して殺す。
『
『絶望』は笑う。
楽しそうに、楽しそうに……。
―—……ああ……あああ……。
俺の声は届かない。
俺の手は届かない。
俺がやったことに意味はない。
俺は何もできなかった。
何もできない俺が崩れ落ちる。
――もういやだ……もういやだ……。
それでも『
何も知らずに囲まれて、何も知らずに殺されて、そのまま食われて消えていく。
何度も何度も何度も何度も。
惨劇が目に見えて、呪いの叫びが耳に聞こえる。
耳をふさいでも聞こえてくる。
目を閉じても見えてくる。
――やめてくれ……やめてくれ……やめてくれ……。
「……生きてくれ」
最期にそういった『
「ちょっくら行ってくる」
そういった『
「いってきます」
そういって弟は逝ってしまった。
「お前のせいだ」
――……うるさい。
「お前がいるから」
――うるさい。
「お前がいなければ」
――うるさい!
「お前が元凶だ」
――うるさい! うるさい! うるさい!
「お前が」
「お前が!」
「お前が!!」
――ぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああ!
寝苦しさから目を覚ました。
あれから三時間。
どうやらいつのまにか寝ていたらしい。
体の不快感に気付く。
どうやらすごい汗をかいているようだ。
風呂にでも入ろうか。
そんなことを思いながら夢の内容を振り返る。
いつも見る夢だ。
ただそこに正司が加わっただけのことだ。
だから俺はいつも通り、頭を掻き、つぶやくのだ。
「……そんなことわかってるんだよ」
と。
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