第5話 戦

とにかく日本中がわけもわからずに、いきり立っていた

 

強制開国の場合必ずこういうことは起る


暗殺が仕事だと自分の仕事だと自覚したのもこのころであったが


 何一つ意味が分からなかった


 言われた通りにしなければ、自分が死ぬそれだけの理由で命令に従った


その日みんなで武器をもって出かけた

 

不毛な月はぼんやり薄れて夜は明けかかっていた


 

その時長くゆらりと揺れる長い首を見た


鹿だ、飢えを満たそうとやってきた鹿がこちらをうかがっている

 

哀し気な目はさよならと言っているように見えた


心の中でさよならを言った

 

その耳が答えるようにピクリと動いたのは気のせいだったのだろうか?


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る