例え俺が消えようともあなたを
石田未来
第1話貴方の余命は1年です
俺はまだ若い。というのもまだ16歳の高校2年生なんだよ。人生まだまだこれからで、夢や希望というものが持てる年代である。
だが、そんなことも、あの一言ですべてぶち壊れた。
「貴方の余命は1年です。」
それはあまりにも突然な出来事だった。俺が普通に学校から帰ったあの日やつ・・は現れた。
黒い翼に黒いドレスを身にまとったセミロングの少女。彼女の手には大きな鎌が握られていた。デスサイズというものだろう。格好なども驚いたのだが、何が一番驚いたのかと言うと、その娘が宙に浮いていたことだろうな。
最初俺が疲れているだけかと思ったが現実だった。そしてもう一つ驚いたことは少女の言った一言だ。
―――貴方の余命は1年です。―――
え?どんな冗談だよ。俺が1年後に死ぬ?どう考えてもおかしい。俺はどこも身体を悪くしておらず、超健康体だ。だからこそありえない。少女の言葉を全く信用できなかった。
「何をふざけたこと言ってるんだよ?」
俺は少女に向かってそう言い放った。口が悪いかもしれないが、あまりにも馬鹿馬鹿しく笑えない嘘だったので、つい強く言いすぎてしまったのだ。
だが、少女の方はあくまで堂々とした姿勢は崩さずに言葉を発した。
「いいえ、これは嘘でも脅しでもありませんよ?事実を私は述べているのです。この
少女は俺にその
その中であるものを見つけた。
死因 事故死
とだけ書かれていた。どう見ても胡散臭く、こんなデ〇ノートみたいなものがあるかと思っていたが、その横のページにある人物について書かれていた。
死因 失血死
歩行者天国にて無差別に人を刺す犯人から小さな子供を庇い刺され、救急車で搬送されるが失血により死亡。
と書かれていた。そのページを見た瞬間にドキッととした。何故ここに自分の父親の名前が書かれているのか?それだけでなく死因まできっちりと書かれているではないか。
蒼志の父はもう既にこの世にはおらず、そのノートの死因通りに亡くなっていた。
「う、嘘だろ?なんで父さんの名前が…。それに死因が全く同じ…。」
「だから、言ってるでしょ?私は死神だって?あらゆる人間の死を知る存在。それが私よ。」
さっきまで全く信用していなかった蒼志なのだが、父親の死が明確に書かれていたことによって、その言葉を信じざる負えなかった。
しかし、だとしたら自分は1年後には死ぬ。そんな避けられない運命を知ってしまい絶望を感じた。
「嘘だろ…?俺死ぬのかよ…。まだこれからなのになんで?」
まだ若い者だからもつ夢や希望というものが、崩れ去ってしまった。それだけでなく、自分の努力というものがすべて水の泡になるということを思い、これからどうすればいいのかもわからなくなってしまった。
「おい、死神!どうにかならないのか!?」
「無理よ。これは運命なの。避けられない定めよ。」
死神である少女は無情にも蒼志に言い放ち、さらに絶望に追い込んだ。
しかし彼女は人物最期帳の蒼志のページを見て違和感を感じていた。それは死因が詳細に書かれていないことだった。
こんなことはまずありえないのだが、人物最期帳に詳細な死因が書いていない場合それは適用されないらしいのだ。
それについて死神は蒼志に言った。
「貴方もしかしたら生きられるかもしれないわよ?」
「え?本当なのか?」
絶望に打ちひしがれていた蒼志だが死神の少女の言葉に僅かな希望が芽生えた。
「ええ、まだあなたにはチャンスがあるわ。あなたの行動したいで未来は変わる。」
少女は蒼志の顔を見て安心させるような笑みをうかべた。それに対して蒼志はどんどん生きる希望を持つようになった。
―――まだ俺にもチャンスがある。絶対に生き延びてみせる!―――
こうして俺は1年後生き延びるために必死に毎日を過ごす日々を送るのであった。
それが今、俺にできる唯一のことであるからだ。
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