第44話さまようよろいの暴言

 レベルが上がると厚かましくなるもので。

 今年レベル92のさまようよろいは、ホイミスライムが居なくなるとわたくしに暴言を吐く癖がついている。


 最初のうちはコミュニケーションの一環だと思ってつきあってきたわたくしだが、今日ついに言ってしまった。


「うるさいな」


 と。


 時刻は午後6時。夕飯の時間だ。ホイミスライムが作りおいていったカレーをレンジに入れて温めようとすると、


「早く食べると夜中に腹がすいて、食べて太るとよ」


 6時はいつもの夕飯時刻だ。


 普通にご飯を食べて何が悪いのかと。


 そして、普通に米飯をよそおうとすると、冷蔵庫から非常食用の冷凍ごはんを取り出してきて、それを食え食えとうるさい。


「さまようよろい、いいか。今それを食べたら、非常用の備蓄がなくなる。その上ジャーに残ったご飯が余るからまた冷凍しなおさなくてはいけない。するとだな……電気代の無駄になる。なぜなら、熱を持ったものを冷蔵庫に入れると冷やすために余計な電力を食うからだ。それでもわたくしに異論はあるか?」


 するとさまようよろい。


「あんたは米を炊かんからよかけども」


 とよくわからない反論をした。自分でも意味はわかってないのだろう。わたくしの言ったことを理解してないのは明らかだ。


 理屈のわからないやつは嫌いだ。


 さまようよろいが家にいるだけで、我が家は割りをくってるのだ。米の飯は減るし、電気代はいちいちかかるし。お茶をしょっちゅう飲むから水道代とポットの熱量分の電気代。あと風呂。


 今日なんてTVをつけっぱなしで昼に眠りこけて。


 生活費を払ってから言え。子供に寄生してるくせに。主婦のわたくしを見習いなさい。非常用ごはんをつくったのはわたくしなんだ。それをいつ食べるかはわたくしが決めるわ!

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