第28話一角うさぎの論

 うさぎとかめの話がある。

 皆さん、亀がお好きで、なにかというと馬鹿にされるうさぎ。

 仲間だろうと思うので一本角のある白いうさぎさんに聞いてみた。

「なんでうさぎは途中で休んでたんだと思う?」

「疲れたからじゃない?」

 何でもないように言う。これは意外だった。

 だって、本には「うさぎは亀を見ていた。亀はゴールを見ていた」とかいう話が何べんも出てきた。

 だけど、一角うさぎは言うんだ。もしもしと草を食べながら、

「休めるときに休んでおかないと、天敵に襲われたとき、逃げ切れないからねー」

と。

 がーん!

 そそうだよね?

「うさぎは全力で走るから、一気に体力を消耗するのん」

 みなさん、そういうことらしいですよ?


 うさぎとかめのうさぎさんは、ペース配分間違えたわけでも、亀さんをあなどっていたわけでもなく、ただただ「天敵につかまらないように一気に走り抜ける」性分だったというわけです。競争なんてしてる場合じゃないの。

 うさぎさんは道草をたくさん食べて体力をつけましょう、というお話。亀さんは気の長い性分だ、甲羅があるし天敵いないも同然だし、寿命ながいし。という物語にすぎないのでありました!

 しかもどちらも、人間にはかなわない。うさぎは罠に簡単にかかるし、亀は産卵の時期に卵までとられてしまう。食べたことはないけれど、肉もおいしいらしいから。

「実際、うさぎとかめが競争なんてしたら、空から猛禽類にとって食われちゃう」

 なるほどなるほど?

 なにも人間が亀になる必要もないのよ。寿命じゃかなわないんだし。駆け抜けて危機を脱して生き続けるうさぎのほうが、スリリングで飽きないと思う。それでもガルーダがその場にいたならこういうと思う。

「オレは強い」

 猛禽類は空では最強だからね。

 めでたしめでたし!?

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