第26話んんんー?

 今日はホイミスライムがいない。んだから、わたくしが共有地の掃除当番。昨日から言い聞かされていた。

 んが、特訓明けで気力がこそげ落ちてるわたくしは、朝の九時からなんて行動できない。

 ソファでへばってるところへ、さまようよろいが「おきなっせ、おきなっせ」

 ほれほれ、と言うけれども、てんでまぶたが開かない。

 んで、

「ん? ん?」

 って、呼ばれるたびに生返事して、だけどそれが数十回にも渡って、

「おきなっせ、おきなっせ」

「ん? ん? んんー?」

 ってやってたのだ。これはたまらない。

 両目を開いて時計を見たら、九時十分前だった。

「ホイミスライムが、十分前に起こしなっせと、言うとってたばい」

 なんだかなあ。しかし、窓から見降ろすかぎり、共有地に人はいない。

 夕べの雨のせいか、ぬれ落ち葉が地面に張りついて、どす黒く景色を濁らせている。それしか見えないな。

 着替えて、洗面をして、さあ出かけよう、としたら。

「ねえ、共有地に人っ子一人、集まってないのはどういうこと?」

 さまようよろいが、お茶を飲みつつ答えた。

「さあねえ。昨日が本当の当番だったけどが、雨が降ったから多分今日になったと、ホイミスライムが言うとってたばい」

 それは希望的観測というのだ! バカバカしい。

「見た限りじゃ中止だね、こりゃ」

 喉が乾いちゃったから、和歌山みかんを食べよう。

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