第25話ベイベイ国とホイミスライム

「ホイミスライム、NH? のニュース見る? だったら、とっておくよ?」

 今日の夕飯担当のホイミスライムが台所に立っている。珍しくわたくしは話しかける気になった。

「ベイベイ国の大統領に就任決まったトランペットさんね、これから言動変わるかもよ」

「え~? どうして」

 ニンジンを刻みながら、ホイミスライムは言う。

「就任からこっち、補佐官にあれこれ説教されるだろうってさ」

「へ~、なるほど。大統領ともなると大変だ」

 ホイミスライムはのほほん、としている。

「優秀な補佐官いるって便利だね~。トランペットさん、ベイベイ国が生まれ変わるときの初代大統領になるよ」

「あれだけやっといて、今更って気もするけど」

「ヒーローかあ」

「救世主だよ」

「勇者だねえ」

 言い合う。勇者……やっぱりモンスターからするとそうなるのか。

「ところでニンジン刻みながらTV見るの、よして!! 触手が混ざるから!!!」

「きくらげみたいで、おいしいのに~」

「知らなかった。ホイミスライムって、自分の触手食べるんだ……」

「冗談よ~!」

 でもなあ、トランペットさん。あの攻撃的な言動も、必要に応じて出てきた別人格かもしれない。と言うと、

「何言ってるの、あんたと違うのよ」

 そう?

 とはいえ、得てして重要な役職についた人って、言動をひるがえすもんじゃない?

「どうちがうのよ?」

「あちらはNewベイベイ国の初代大統領になるお方。あんたは気紛れ」

 家出したい……。

「ええい、緑茶でいいから、よこしなさい!」

 星野で採れるという、星野茶をジャブっと飲んだ。うん、いいお味。

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