第7話スライムナイトのアイデンティティー

 ある日、スライムナイトがやってきて、うちでお茶を飲んでいった。

 鎧の兜を脱ぐとこれが白皙の美貌。

「なんで隠してるの?」

と聞くと、

「いえ、自分、いつでも戦場ですから。休めるのはここくらいです」

とゆるーく笑った。

 おかしい。モンスターとはいえ、これだけ造作が整っていれば、女子にモテモテだと思うのだが。

 いうと、スライムナイト、ちらっと日向ぼっこしているスライムを見た。

「いや。いくら造作よくっても、モテませんよ(そこは否定しないのか)。自分、鎧着てスライムに乗って、初めてアイデンティティー確立しましたもん。ふっきれましたよね」

 そして、しばらくボーっとしてから、兜をとり、スライムに乗って、

「じゃ! お茶ごちそうさまでした!!」

と去っていった。

 ロマンチックな顔してるのになあ。

 わたくしはしおしおのレーズンを手で転がし、口に運びながらそんなことを思った。

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