愛がとけたら

いすみ 静江

寒がりな恋人たち

□寒がりな恋人たち□


TOKYO

街路樹が、赤、青、黄色に輝かされ

並んでいる

君たちの道を照らしている


寒いね

ここは、街路樹がすこし寒がり


寒いね

ここは、恋人たちがすこし寒がり


ねえ、私たち、手、繋がないの……?

皆、見ているだろ?


え……

皆、繋いでいるよ……

それに、すこし寒い……

俺は、恥ずかしがりやなの


ね……お願い……

あ、この樹、赤と白みたい……

サンタさんかな……?

素敵……

ほら、私、サンタさんの樹にかくれたよ……


はは、手袋だけ出ているよ

だって、イブだもの……


分かったよ

じゃ、握手な

てへ……


はい、姫ぎみ!


ぐいっ


あ……、う……、はう……

ん……

ん……


はあ……、ふう……

や……


もう!


サンタさんの樹でこんなこと……


お望みでしょう?

恥ずかしがりやさんと違う……


イブだからさ


ここは、恋人たちがすこし寒がり


ここは、街路樹もすこし寒がり


恋人たちの道を照らしている

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る